痛風とは?その痛みの原因・初期症状・治療法

美容・健康

風が吹いても痛いと言われている、「痛風」ですが、かつては非常に稀な病気でした。しかし、食生活の欧米化など偏った生活習慣やアルコール摂取量の増加などによって、その患者数は徐々に増加傾向にあり、今では30年前の4倍以上に増加しています!その数はなんと、予備軍を含めると1000万人にものぼります。そのため、今は症状がない人も爆弾を抱えている可能性は十分になるのです。

そこで今回は、痛風の原因や原因となる尿酸値を下げる方法をご紹介します!

痛風とは?痛風の基礎知識

痛風について

「痛風」とは、「尿酸」が関節や腎臓のなかで結晶となって関節に激しい痛みや腫れを生じ、関節炎を伴う病気です。風が吹いても痛いということで、「痛風」と呼ばれています。

現在は医学の進歩により、良い薬も開発されたため正しい治療を受ければ健康な生活を送ることができます。しかし、放置してしまうと激しい関節の痛みを繰り返したり、体の至る所に結節が溜まりやすく、尿管結石など結石の原因になります。また、尿酸は動脈硬化の原因にもなり、腎機能障害や心筋梗塞・脳梗塞などの合併症を引き起こすこともあります。

初期症状である手足の違和感があるうちに治療を開始すれば、痛風発作を未然に防ぐことが可能です。

痛風発作の発症

出典:病気がみえる

多くの症例では、遺伝的に尿酸の排泄が低下した人に過食・大量飲酒・肥満・ストレス・激しい運動などさまざまな環境因子が関与して「高尿酸血症」となり、痛風発作を引き起こすと考えられています。

発症のきっかけは関節への負担や衝撃

痛風の痛みは、暴飲暴食の翌朝や捻挫・突き指など関節への負担や衝撃がきっかけとなり、ある日突然発症します。そのきっかけで溜まった結晶が剥がれ落ちることで、それを敵と見なした白血球が攻撃。痛みのもととなる炎症を起こしてしまいます。尿酸値の高い人は、硬い靴を履く・ゴルフをするなどことなど様々な原因で発症する可能性があります。

痛風の初期症状は?どんな痛み?どこが痛む?

痛風は、関節に激しい痛みを引き起こします。痛み方は人によって異なり、虫歯の痛みを倍増させたような神経に響く激痛と表現する人もいます。

約7割の患者は足の親指の付け根が赤く腫れて痛風を発症しますが、手の親指の付け根や足関節・足の甲・アキレスけんの付け根・膝関節・手関節なども痛みが起こることもあり、場所は人それぞれです。

痛風の経過

出典:病気がみえる

痛風発作は数日~1週間ほどで治まる場合が多いです。

その後は、痛みのない無症状状態と発作を繰り返しますが、無治療のまま放置をすると慢性期となり、発作の頻度は数年に1回から年に数回へと次第に増加し、親指以外の関節にも発作が生じるようになります。

女性も痛風になる!?

痛風は、一般的に30~50歳の男性に発症する事が多いとされており、痛風患者の95%が男性と言われています。そのため、男性の病気だと思われがちな痛風ですが、女性も痛風を発症します。

その理由は、女性ホルモンです。女性がもつ女性ホルモンには尿酸値を下げる作用がありますが、閉経を迎え女性ホルモンが減ると尿酸値が上がりやすくなってしまいます。そのため、女性も年齢とともに注意が必要です。

痛風関節炎・血液検査尿酸の診断基準

痛風関節炎の診断基準

痛風は、「高尿酸血症」が持続した結果として、関節内に析出した尿酸塩結晶が引き起こす結晶誘発性関節炎を発症したものです。

痛風関節炎の診断基準は、下記の1~3のいずれかを満たした場合に痛風と診断可能です。

出典:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン
痛風関節炎の診断上の注意点

・痛風発作中の血清尿酸値は低値を示すことがあり、診断的価値は高くない

・関節液が得られたら迅速に検鏡し、尿酸塩結晶の有無を固定する

・痛風結節は診断上価値があるが頻度は

血液検査尿酸の基準値

尿酸値とは、体内の尿酸の濃度を表した数値で、7.0mg/dLがデッドライン(これ以上超えてはいけない数値)です。尿酸は酸性の物質で、体液中は尿酸塩として存在していますが、血清中濃度が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」の状態と呼ばれ、この状態が長く続くと関節の中で尿酸が結晶化し、針のような形に姿を変え、足の指や膝の関節に溜まりやすくなりますので、痛風を発症するリスクが高まります。
そして、あるきっかけによりその結晶がはがれ、結晶を異物とみなし白血球が攻撃をすることによって炎症となり、痛風の激痛が出現します。

痛風になる原因:プリン体・果糖・遺伝

また、痛風の患者さんが増加した原因は、食生活を含め生活習慣の西洋化によると考えられています。

痛風の原因となるのが、「尿酸」です。私たちの身体の中には「プリン体」という物質があり、身体を動かすエネルギーとして使われています。プリン体はその後、肝臓で分解された際に尿酸となって尿や便で体外に排出されますが、尿酸の量と排泄する量のバランスが崩れると血液中の尿酸が増えてしまいます。すると、尿酸がトゲトゲとした結晶に変化し、関節に溜まると炎症を起こし痛風を発症します。

そのため、痛風の原因は、尿酸のもととなるプリン体の摂り過ぎによるものです。

痛風になる原因①:プリン体が多く含まれる食事・食材

尿酸値を上げる原因の1つが、魚卵・肉類・ビールなど「プリン体」の摂り過ぎです。プリン体は食べ物にも含まれています。どんな食材に多いのか確認してみましょう。

※一人前を基準とし、分類別に多い順に記載しています。

プリン体は、人間が生きていく上で必要不可欠なものですが、過剰に摂取すると尿酸を大量に作ってしまいますので、注意しましょう。

痛風になる原因②:果糖

プリン体だけでなく、ケーキやジュースなどに含まれる果糖も尿酸値を上げる原因になります。熱中症予防に大切なスポーツドリンクも果糖を多く含まれていますので、飲み過ぎには注意しましょう。

痛風になる原因③:遺伝・腎不全・脱水・利尿薬など

尿酸は、腎臓から尿中に排出されます。そのため、腎不全などによる腎臓の病気や、遺伝や脱水・利尿薬などによる排尿の病気などでも尿酸が溜まりやすくなります。

痛風になる原因④:高血圧・脂質異常症・肥満などの生活習慣病

高尿酸血症の発症には、遺伝因子の他にも、高血圧や脂質異常症・肥満などの環境因子も強く影響します。生活習慣病の合併が虚血性の心疾患や脳血管障害の発症率を高くしていると共に、痛風や腎機能障害などの進行を促進させてしまいますので、合併症にも十分注意しましょう。

痛風予防軍のセルフチェック

下記のセルフチェック項目にいくつ当てはまるかチェックしてみましょう。

✔ 肉や魚内臓(もつ)料理をよく食べる
✔ 太っている
✔ 水分をあまり摂らない
✔ 食べるのがはやい
✔ 仕事などで頑張りすぎる傾向にある
✔ アルコールやジュースを毎日飲む
✔ 高血圧・高血糖・脂質異常がある

3つ以上当てはまる方は要注意です!

尿酸値を上げる原因は、「プリン体の摂り過ぎ」・「早食い・食べ過ぎなどによる肥満」・「仕事などによるストレス」と言われています。

痛風の予防と対策・治療法・治療薬(痛み止め)

薬物療法と生活習慣の改善:治療の全体像

痛風の治療は、大きく分けて痛風発作の治療と、発作のない時期(間欠期)の高尿酸血症に対する治療法があります。まずは、痛風発作に対する治療を行い、発作が十分に鎮静した後に高尿酸血症の型や合併症に合わせて尿酸降下薬を選択しましょう。

尿酸降下薬は少量から開始し、血清尿酸値を測定しながら3~6カ月かけて維持量を決定しましょう。尿酸値が低下した後も、関節内に尿酸塩結晶が存在する場合は、痛風発作は引き起こされる可能性がありますので、注意しましょう。

痛風発生時の薬物療法

出典:病気がみえる

痛風発生時の薬物療法は、痛風発作の症状によって投与する治療薬は異なります。

前兆期:コルヒチン

発作の前兆期(足が重い・違和感があるなど)には、コルヒチンにて発作を抑制しましょう。

コルヒチンは、白血球の働きを抑え、痛風発作の発症を抑制する働きがあります。しかし、消火器症状(腹痛・下痢・嘔吐など)の副作用が強くなりますので、1錠(0.5mg)の投与にしましょう。

極期:NSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)

痛風発作が起こってしまったら、尿酸値を下げる尿酸降下薬は使わず痛風発作治療薬で患部の痛みや腫れを取り除きます。

アスピリン喘息や腎臓の病気などでNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)投与が禁忌や無効の場合には、副腎皮質ステロイド薬を投与します。

発作中に尿酸降下薬を投与すると急激な尿酸値の低下が起こり、関節内の尿酸塩結晶の析出・遊離が促されて症状が悪化しますので、服用は避けましょう。また、発作時は、可能な範囲で幹部の安静を保ち、冷却・禁酒を行いましょう。

回復期:尿酸降下薬

発作が回復した後は、痛風の原因である高尿酸血症に対する治療のため、尿酸降下薬を投与します。なお、尿酸降下薬は、尿酸の生成を抑制する「尿酸生成薬」と、尿酸の排出を促進させる「尿酸排泄促進薬」がありますので、高尿酸となった原因に合わせて使い分けられます。

生活習慣を改善しつつ尿酸降下薬を少量から使い始め、徐々に尿酸値を下げていきます。痛みがある場合は、その程度に応じてNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)を少量~常用量服用し、痛みが消失した場合は中止します。生活習慣の改善は治療の基本となりますので、薬物治療で尿酸値が下がっても継続して行いましょう。

生活習慣の改善・生活指導

痛風の予防・対策には、下記を心掛けるようにしましょう!

  • 正しい生活習慣(食事療法・アルコールの制限)を身につけ、肥満は解消させる
  • 1日2ℓを目安に水を飲む
  • 尿酸値を下げる効果がある海藻や野菜類を摂る
  • 痛風予防に効果的なウォーキングなどの有酸素運動を行う

上記の環境因子を是正することで、高尿酸血症を抑えることができますので、高尿酸血症に対する生活指導が重要になります。

内臓脂肪の蓄積は、尿酸産生過剰を介して尿酸値を上げますので、生活改善(食事・運動療法)により肥満が解消されると、血清尿酸値も低下することが可能です。

尿酸は、尿や便から排出されますので、こまめな水分補給が大切です。特に、夏場は汗をかいて尿の量が減り、尿酸の排出が少なくなりやすい季節ですので、こまめな水分補給を心がけましょう。また、十分な水分摂取や尿をアルカリ化する食品の摂取は、尿中に尿酸が溶けやすい状態にし、尿路結石の発生を予防します。

痛風予防におすすめの飲み物が牛乳です。牛乳に含まれるアミノ酸には、尿酸の排出を促す作用があるといわれており、ヨーグルトやチーズなどの乳製品でも同等の効果が期待できます。特に低脂肪乳製品は、尿酸値を下げる作用が強いと言われています。

痛風と偽痛風の違い

出典:病気がみえる

痛風に似た疾患として、「偽痛風」があります。痛風は高尿酸血症が原因で生じる病気ですが、偽痛風は高尿酸血症はみられないのが特徴です。

まとめ

痛風は、風が吹いただけでも痛く、激痛が出現するのが特徴です。痛みだけでしたら、病気の中でもトップクラスに痛い病気になりますので、尿酸値には注意して生活改善を行いましょう。

また、高尿酸血症となる原因も多々あり、原因によって薬物治療の内容も異なりますので、高尿酸血症となった原因をしっかり把握されることが大事です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました