塩と血圧の関係とは?ドクターおすすめの反復1週間減塩法をご紹介!

美容・健康

「塩」は、生命の維持や食事には必要不可欠なものです。しかし、塩分の取り過ぎは高血圧による心臓病や脳卒中だけでなく、胃がんや認知症までも引き起こす可能性がある怖いものです。そのため、高血圧対策には「減塩」は最も大事なものであり、昨今では「減塩外来」が誕生する状況ですが、実際にやるとなると難しいものですよね。

そこで今回は、塩分と血圧の基礎知識からドクターがおすすめする反復1週間減塩法をご紹介します!

塩の役割とは?

(1)細胞外液の濃度を維持し酸素や栄養分を細胞に運ぶ

人間の体の細胞は「細胞外液」という液に囲まれており、塩(ナトリウムイオン・塩化物イオン)はこの細胞外液に多く含まれています。細胞外液に含まれる塩分量によって細胞外液の水分量を維持しており、これにより全身の細胞に酸素や栄養分が運ばれます。また、細胞でできた二酸化炭素や老廃物が肺や腎臓に運ばれて排出されます。このように、塩は細胞外液の濃度を維持し、細胞が正常に働くのを助けています。

(2)脳や身体に情報を伝え筋肉を動かす

神経細胞は、物を触ったときなどの刺激を脳に伝えたり、脳から体を動かすように筋肉に命令を伝えたりしています。塩(ナトリウムイオン)は、神経細胞が刺激や命令を伝えるときに必要な役割をしています。

(3)栄養の吸収や消化を助ける

塩(塩化物イオン)は、胃酸の主成分で胃で食べ物を殺菌したり、消化を助けたりしています。また、塩(ナトリウムイオン)は、小腸で「アミノ酸」や「ブドウ糖」などの栄養素の吸収を助けています。

塩分と高血圧や病気リスク

なぜ塩分の摂り過ぎは良くない?高血圧による病気のリスクとは?

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引用:病気がみえる

塩には、体液の浸透圧の維持や神経の刺激伝達・筋肉の伸縮・栄養の吸収といった大切な働きがあります。しかし、摂り過ぎは高血圧の原因になり、脳卒中や心疾患・冠動脈疾患などの循環器疾患の罹患率・死亡率を高めます。また、慢性腎臓病(CKD)の予後を悪化させる要因のひとつでもあるなど、様々な病気を引き起こします。

なぜ塩分の摂り過ぎで高血圧に?塩分と血圧の関係とは?

塩分を摂り過ぎて血液中の塩分濃度が高まると、身体はそれを薄めようと組織や細胞から血液中に水分を取り込みます。すると、血液量が増し血管にかかる圧力が上昇し、それが高血圧につながります。血圧を上げないために、日頃から塩分の摂りすぎに注意し、1日1.5リットル以上の水分補給を目安に水を飲むことが大切になります。

加工食品や濃い味を食べ続けていると味覚が鈍る?

塩の摂取で注意すべきなのが、食材自体に塩分が含まれているハムやかまぼこなどの加工食品です。日本人は食塩のおよそ4割を加工食品から摂っていると言われています。1日の自分の塩分摂取量の目安は外食がおいしいと感じる人はおよそ14g、しょっぱいと感じる人はおよそ7gと言われます。

また、味が濃いものを食べ続けていると、塩分の摂り過ぎで味覚が鈍くなってしまいます。水500ccに食塩5gを加えた「およそ1%濃度の食塩水」を飲んでも塩分を感じない方は、既に味覚が鈍くなっている可能性がありますので注意が必要です。

1日の塩分摂取量の目安とは?

生活習慣病予防のため、厚生労働省が定める塩分摂取量は、男性は1日7.5g未満,女性は6.5g未満とされています。しかし、実際ほとんどの日本人は必要量をはるかに超える食塩を摂取しており、一般の人の食塩摂取量は平均約10g程は摂っていると言われています。

食塩と高血圧の関係はよく知られていますが、食塩摂取量が非常に少ない地域では高血圧の人はみられず、加齢に伴う血圧上昇もほとんどないことが示されています。そのため、食塩制限は正常血圧の人にとっても高血圧の予防のために意義が大きいと考えられます。

上記のことからも、高血圧の治療においては食塩制限が重要で、日本高血圧学会は1日6g未満を推奨しています。また、欧米のいくつかの国でも、一般の人にも6g未満を推奨しており、世界保健機関(WHO)では、すべての成人の減塩目標を5gにしています。

減塩によるリスクは?

減塩による健康障害は起こりません。しかし、低血圧や起立性低血圧で立ちくらみがある場合など、一部の病態では食塩摂取は多いほうが良いこともあります。また、夏や運動の後など、大量に汗をかいた場合などは脱水症状にもなりやすくなりますので、注意しましょう。

減塩外来とは?

減塩外来では、下記のような事を行っています。

▼検査①:1日の平均血圧を測定
血圧は、1日の中でも大きく変動しています。そのため、正確な血圧を知るために24時間血圧計を付けて1日の平均血圧を割り出します。

▼検査②:1日の塩分摂取量を測定
24時間に排出された尿を全て取り、そこから1日に平均塩分摂取量を調べます。

▼2つの結果から減塩法を指導
正確な血圧と塩分摂取量を知り、その2つの結果から減塩法を指導します。

成功者続出!ドクターがおすすめする反復1週間減塩法とは?

反復1週間減塩法とは?

反復1週間減塩法とは、1ヶ月~2ヶ月の中で1週間だけしっかり減塩し、それ以外はいつも通りの食生活を送ります。それを繰り返し行う減塩法です。徹底的な減塩の後、普通の食生活に戻ると味が濃く感じられ、減塩生活が普通に感じられる効果があります。実際に3ヶ月で11gから3gの減塩に成功し、170あった血圧が130までダウンした経験者の方もいらっしゃいます。

反復1週間減塩法のやり方

1週間の減塩期間中は、塩・しょうゆ・ソース・味噌などの調味料は禁止です。さらに、漬物や梅干し、調味料がすでに付いているものなど、塩分が高いものも一切禁止です。ただし、「酢」だけは、どれだけ使用してOKです!酢に含まれる酢酸は血管を拡張させ、血圧を下げる作用があると言われています。酢・黒酢・ワインビネガー・バルサミコ酢・リンゴ酢など、好みに合わせて酢の種類を変えても構いません。

減塩の大敵は調味料!

「減塩」の大敵は、調味料です。醤油やソース・味噌など、どれも塩分が高いものになります。料理の上からかける事で塩分摂取量が増えてしまいますので、注意しましょう。
<大さじ1杯あたりの塩分量>
しょうゆ    2.6g
ウスターソース 1.5g
中濃ソース   1.0g
味噌      2.4g

減塩中に効果的な朝食には「グラノーラ」がおすすめ!

1日3食の中で、一番減塩で効果的なのが朝食です。起床後は血圧を上げるホルモンが高くなりますので、この時に減塩すると血圧を下げるのに有効です。そのため、減塩中はシリアルの一種である「グラノーラ」を食べるのがおすすめです。穀物にナッツ・フルーツが入っていて栄養豊富であるとともに、1食50gで塩分はたったの0.2gと最適です。味付けなしの無調整豆乳で食べるのがおすすめです。

血圧を下げる食材は「納豆」がおすすめ!

血圧を下げるおすすめの食材は、納豆です!原料の大豆には血圧の上昇を抑え、血中のコレステロールを下げる働きがあります。また、料理の味付けにワインを使うのもおすすめです!ブドウに含まれるポリフェノールには、血管を拡張させる働きがあります。

反応が良い人と悪い人がいますので、減塩してすぐに血圧が下がらなくても、信じて続ける事が大切です。減塩外来で指導したある方は、減塩しても血圧がなかなか下がりませんでしたが、2か月後に大きく下がった実績もあるようです。血圧を下げる減塩生活、気になる方は是非お試しください。

減塩中に使用する塩は「雪塩」がおすすめ!

塩は採取場所により、海水塩・岩塩・湖塩の3つに大きく分類されます。中でも減塩におすすめなのが雪塩ですナトリウム以外のミネラル成分を多く含み、ミネラルの一種であるカリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を排出してくれます。ミネラルが豊富な塩を選ぶのも減塩法の1つです。

減塩中の賢い塩の使い方!

減塩中でも少し味を濃くしたいという方には、1口目だけ塩を少し多めにすることで、全体量はほぼ変わらないのに満足感は得られます。自宅でも総塩分量を変えず、1口目だけ多めの塩分で減塩にチャレンジしてみましょう。

日本高血圧学会減塩推進東京宣言 ~日本高血圧学会より引用~

引用:日本高血圧学会

食塩の過剰摂取は、高血圧の発症、重症化はもとより脳卒中、心臓病、腎臓病などの要因となり、健康寿命を脅かします。

日本高血圧学会は、減塩の推進を目的として2005年に減塩ワーキンググループを組織し、2010年に減塩部会、2011年に減塩委員会と改組して活動を強化してきました。本年5月に改訂した高血圧治療ガイドラインでは血圧区分130-139/80-89 mmHgを「高値血圧」として管理対象としたこと、降圧目標をより低値としたことより、非薬物療法、特に6g/日未満を目指した減塩の重要性を改めて強調しました。また厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020)」は、一般人の食塩摂取の目標量を男性7.5g/日、女性6.5g/日とし、国民レベルでの減塩の推進を提唱しています。

さらに、2018年、「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」(脳卒中・循環器病対策基本法)が成立したことから、循環器病の一次・二次予防を目的とした減塩の推進は国を挙げて対策すべき重要な課題に位置づけられると考えます。

このような背景から、日本高血圧学会は、東京で開催される第42回日本高血圧学会総会において「日本高血圧学会減塩推進東京宣言 –JSH減塩東京宣言–」として、「6gを目指した6つの戦略」を宣言し、実行致します。

日本高血圧学会(JSH)は、「JSH減塩東京宣言:6gを目指した6つの戦略の実行」を宣言します。

  1. 食塩の過剰摂取による弊害と減塩の必要性について啓発に努めます。
  2. 個人や集団における食塩摂取量の評価を推奨し、減塩手法の提示を支援します。
  3. こどもの食育の一環としての減塩(塩育)の推進に努めます。
  4. 外食・中食・給食の減塩化を支援します。
  5. 企業に対し、減塩食品の開発、普及を働きかけます。
  6. 行政に対し、減塩推進に向けた取り組みを働きかけます。

まとめ

食生活を豊かにしてくれる塩ですが、摂り過ぎに注意し、上手な付き合い方を身につけましょう。また、塩は食欲が増しますので、塩を減らすと食べる量も減ります。そのため、減塩生活は糖尿病やメタボの方にもおすすめです。

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