良い汗と悪い汗の違いとは?良い汗への汗腺トレーニングをご紹介!

美容・健康

汗は、人類が進化の過程の中で身につけた健康のバロメーターです。特に夏の暑い季節は、汗の量が少ないと体温が上がりやすくなり、熱中症にかかってしまう恐れがあるといいます。

汗は、気温や運動などで熱くなった身体をクールダウンしてくれる強い味方です。しかし、良く見かける玉のような大粒の汗は、実は身体を冷やせず熱中症も防ぎにくい悪い汗です。それではどうすれば良い汗をかけるのでしょうか?

そこで今回は、意外と知らない汗の実態と、良い汗にするための汗腺トレーニングをご紹介します!

汗の基礎知識

汗とは?

汗は、皮膚にある汗腺という器官から出てきます。そのほとんどの成分が水であり、身体の体温が上がった時に、身体の水分を汗として放散させることで体温を一定に保つ働きをしています。

汗は、本来、無色無臭です。また、汗は、暑い時や運動した時に体温調節のためにかくものだけではなく、興奮や緊張など精神的な要因がきっかけとなってかく汗、辛いものを食べた時にかく汗などもあります。

汗をかくメカニズム

汗が作られる汗腺には、「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類があります。それぞれに汗の性質や汗を出す仕組みが異なります。

「エクリン汗腺」は、毛のない部分の皮膚に開口しており、全身のほとんどに分布しています。主に体温調節のために汗を出す汗腺で、分泌される汗は無味無臭です。他にもストレスを感じた時に出る精神的発汗や刺激物を食べた時に出る味覚性発汗などがあります。

「アポクリン汗腺」は、毛包の上部に開口部があり、毛の周囲から皮膚へと滲み出てくる構造をしています。脇や陰部などの限られた部位に存在しており、特に脇の下に多く分布しています。アポクリン腺から出る汗は白く濁っていて(乳白色)、脂質やタンパク質などニオイのもととなる成分を多く含んでいます。思春期以降に分泌機能が働くようになり、フェロモンとしての役割があるとされています。

汗の種類と汗をかく要因・理由

汗をかくきっかけとなるのは、体温調節を行う「温熱性発汗」、緊張した時や驚いた時などの精神的なことからくる「精神性発汗」、そして辛い食べ物など味覚からくる「味覚性発汗」の3つがあります。
また、ワキはエクリン腺とアポクリン腺が共存し、温熱性発汗と精神性発汗が両方起こる特殊な場所です。

温熱性発汗

温熱性発汗は、エクリン腺から分泌され、気温の上昇や運動や労働で体温が上昇したときなど、体温調節を図るためにみられる汗です。手のひらや足の裏を除く、全身から持続的に発汗し、暑い時に激しい運動を行うと、1時間に2リットルほどの汗をかきます。

精神的発汗

精神的発汗は、エクリン腺・アポクリン腺から分泌され、痛みや緊張・不安・怒りなど、高度な精神活動を要求されたときなど、ストレスを受けた時に手のひらや足の裏・脇など局所的で、短時間に発汗するのが特徴の汗です。人前に出て緊張したときや驚いたときに出る「手に汗をかく」「冷や汗をかく」といった言葉に関係するものです。手のひらや足の裏を汗で湿らすことにより、摩擦を生じて作業を行いやすくすることや、センサーとしての感度を高めるためと言われています。

味覚性発汗

味覚性発汗は、エクリン腺から分泌され、辛いものやすっぱいものなどの刺激物を食べた時に、顔や頭を中心に噴き出す汗です。味覚の刺激によって反射的に起こるもので、食べ終わると汗もひく一時的な汗です。辛み成分のカプサイシンが口腔内の粘膜にある温度センサーを刺激して、熱覚とともに痛覚を生じ、発汗神経を刺激して起こると言われています。

良い汗と悪い汗の違いと特徴

汗は二段階の工程を経てつくられており、まず血液から前駆汗がつくられ、次に曲導管(汗となって分泌される管につながる管)でナトリウムイオンが再吸収されて薄められた後に汗となって皮膚から蒸発します。最初につくられる前駆汗は塩分濃度が高く、そのまま体外に汗となって排出されると体内の多量の塩分を失ってしまうので塩分(ナトリウムイオン)を再吸収することによって汗を希釈しているのです。

汗の量と塩分濃度は比例しており、前駆汗の量が多い場合、ナトリウムイオンの再吸収の機能が十分に行えず、塩分濃度の高い汗となります。 また、汗は蒸発して熱を奪うことで、体温調節に役立ちます。汗をかくのが上手な人はうっすらとまんべんなく汗をかき、短時間で汗が蒸発するため体温調節もうまくいきます。そのためいい汗は、肉眼では少し湿っているようにしか見えません。

汗は、汗腺の機能の低下によって、悪い汗と呼ばれるようになります。

良い汗

  • 良い汗は、うっすらとまんべんなく汗が出ますので、肉眼では少し湿っているようにしか見えません。そのため、短時間で汗が蒸発しますので、体温調節もうまくいきます。
  • 曲導管でのナトリウムイオンの再吸収も増加し、塩分濃度の低いさらっとした汗となります。
  • 汗の出始めるタイミングが早くなりますので、体温の上昇も少なく、心拍数の増加も軽減できます。

悪い汗

  • 一部の汗腺から多くの汗が出てしまい、見た目には玉のような大粒の汗が出ます。大粒の汗は蒸発しにくく、無効発汗になります。
  • 前駆汗の量が多くなり、ナトリウムイオンの再吸収の機能が十分に行えず、塩分濃度の高い汗となります。その結果、べたつきのある汗となります。塩分濃度の高い汗となります。
  • 大量にかく汗からは多量の塩分が失われ、脱水の危険が高くなります。
  • 汗と一緒に体内のミネラル(ナトリウム)も多く排出されてしまい、強い疲労感を感じることもあります。
汗がクサいのは悪い汗のサイン?

汗は本来無臭ですが、汗臭いニオイの原因は「汗と皮脂」です。ニオイを作る元は皮膚常在菌などの細菌で、汗をかくことで菌が繁殖しやすいジメジメした環境を作り出します。また、その細菌がエサにするのが皮脂です。

アルカリ性の悪い汗はミネラル分を多く含み蒸発しにくくなりますので、ニオイの原因となる菌が繁殖しやすい悪い汗と言えます。そのため、汗がクサいのは悪い汗のサインとなります。

汗をかく病態:多汗症・甲状腺機能亢進症・糖尿病

汗の量が尋常でない、または一部だけにかくなど、汗の出方が不自然な場合、病気が隠れている可能性があります。汗を大量にかいてしまう病態として、「風邪」が主な病態として考えられますが、それは病原菌によって上昇した体温を下げるためです。他にも汗をかく病態は下記のようなものがあります。

手掌多汗症

 手掌多汗症は、活動している時や緊張した時など、精神的発汗が過度に起こった状態に、大量に手のひらに汗をかくため、社会生活に支障がでることがあります。

塗り薬や、ボトックス注射などで発汗を抑えらますので、気になる方は一度皮膚科などでご相談ください。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

 過剰に分泌される甲状腺ホルモンの影響で代謝が高まり、熱の産生量が増えるために大量の汗をかきます。

糖尿病

 糖尿病によって神経障害を併発(抹消神経障害)し、末梢神経や自律神経の働きが損なわれると、大量の汗をかいたり、一部だけにかいたり、逆にまったくかかなくなったりすることもあります。

更年期

 更年期の女性は女性ホルモンが減ります。女性ホルモンには発汗を抑制する働きがありますので、「ホットフラッシュ」と呼ばれる、急激な大量発汗が見られることもあります。

急性循環不全(血圧低下)

 急性の外傷や出血などで生じる、 急性循環不全(血圧低下)の特徴の一つに冷や汗があります。冷や汗は、血圧低下に対して、交感神経の緊張が急激に高まり血圧を維持しようと汗腺も興奮し、全身に汗が出るのものです。

汗をよくかく人とかかない人の差は?悪い汗になってしまう原因は?

汗をよくかく人とかかない人の差は、暑さに慣れているかどうかです。汗を出す汗腺の機能は、季節によって変化します。冬は、汗をかく機会が減りますので、汗腺の機能も低下します。夏は、暑くなり再び汗をかく機会が増えますので、汗腺の機能も元に戻ります。

しかし、日頃の運動不足や梅雨の早い時期からエアコンをつけるなどして、日頃から汗をかく習慣がないと、本格的な夏を迎えても発汗機能がうまく働かない汗腺機能が低下している状態になってしまいます。その結果、体温が上昇しても「汗が出にくい身体」になり、悪い汗の原因になってしまいます。また、汗が出にくい身体は、夏バテや熱中症にかかりやすくなってしまいます。

汗腺トレーニング

運動を行うことで体温が上昇して汗をかきます。運動を継続していると体温の上昇の負荷がかかりますので、暑熱へ順応しやすくなり、良い汗をかきやすくなります。 汗腺は普段から汗を流していれば復活しますので、 普段から運動習慣のある人は良い汗が出やすく、熱中症にもなりにくい身体づくりが期待できます。毎日1回中等度以上の強度(汗を軽くかく程度)の運動を20分程度を行うようにしましょう。また、自然の気候を活用して、屋外で1日に2~3時間自然に汗をかくことも有効です。

うっすら汗をかくまで毎日続けると、2週間ほどで効果が出てきます。

汗腺トレーニング①:夕方のウォーキング

汗をかきやすい身体にするコツとしておすすめなのが、夕方のウォーキングです!

体温は朝が一番低く、夕方にかけて上がっていきます。そのため、朝のウォーキングも健康には良いですが、効率的に汗をかくことを目的にしている場合は、夕方に運動をする方が効果的です。

また、汗の量はしっとりにじむ程度で十分です。毎日少しずつでも汗をかくようにする事で、蒸発しやすい汗をかける身体になっていきますので、高負荷で長時間行うより、20分~30分程のウォーキングを継続して行うことが大切です。

汗腺トレーニング②:食事で発汗

辛い物や酸っぱい物を食べて汗をかきましょう!

汗腺はどのような形でも発汗することでトレーニングになります。辛い物が苦手な方は梅干しやレモンなど、酸っぱいものを食べてトレーニングしましょう。また、積極的にたんぱく質も摂取するようにしましょう。たんぱく質は筋肉になりやすく、筋肉を増やす事により体温が上がりやすくなり、汗のかきやすい身体になりましょう。

なお、梅干しは発汗促進だけでなく、血液サラサラ効果やダイエット効果があります。また、生姜には免疫力向上効果やデトックス・美肌効果など様々な健康効果が期待できます。

汗腺トレーニング③:岩盤浴・サウナ・お風呂・足湯

岩盤浴やサウナは、ドクターもおすすめの汗腺刺激トレーニングです。赤外線効果で身体の中から全身を温めることができます。

また、お風呂や足湯もおすすめです。43℃の熱めのお湯を足首程度まで溜め、両手両足をつけます。指には、熱いものに触れると広がる血管が大量にあるため、その血管内の血液が温まって、効率よく全身を温めることができます。

汗をかけば毒素が出る?

「汗をかいて毒素を出す」といった話をよく聞きますが、残念ながら汗をかいても毒素は出ません!

汗の99%以上は水です。若干塩分やアンモニアが混じっているものの、体内で失われる水分は、汗が出なければ尿が増え、汗が出れば尿が減るというように体内でコントールされていますので、たくさん汗をかいたからといって、汗以外の成分が余分に出るわけではありません。

また、お酒を飲んだ後に「サウナでアルコールを出す」というのも、危険なので注意してください。アルコールは肝臓で分解されますので、汗腺から出る事はありません。汗をかきすぎると脱水症状になる恐れがありますので、サウナなどの際にはこまめな水分補給を忘れずに行いましょう。

まとめ

良い汗をかくためには、汗腺の働きが関係しています。しっかり汗腺トレーニングを行い、効率的に汗をかきましょう!

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