増加傾向の大腸がん!その原因と早期発見が必要な理由とは?

美容・健康

日本で「大腸がん」と診断されている人の数は、毎年10万人以上です。大腸がんはがんに罹患する人の中で胃がん、肺がんに次いで3番目、女性は乳がんに次いで2番目に多いがんであり、日本人にとっては身近ながんの1つです。高齢化と食生活の欧米化などにより年々罹患数が増えています。

そこで今回は、大腸がんの症状・ステージ・生存率についてご紹介します!

大腸がんとは?

引用:病気がみえる

大腸とは、右側大腸(盲腸・上行結腸・横行結腸直腸)と左側結腸(下行結腸・S状結腸・直腸)の全てを指します。この部位にできるがんを「大腸がん」と言い、日本人では、7割近くが「直腸」と「S状結腸」で発生しています。

大腸がんは、大腸の一番の内側にある粘膜に発生するがんのことです。腺腫という良性のポリープが大きくなる過程でがん化して発生するものと、正常な粘膜の細胞が直接がん細胞に変化して発生するものがあります。大腸の粘膜に発生した大腸がんは、次第に大腸の壁に深く侵入し、やがて大腸の壁の外まで広がり腹腔内に散らばったり、あるいは、大腸の壁の中のリンパ液や血液の流れに乗って、リンパ節や肝臓・肺など別の臓器に転移したりします。

大腸がんはがんに罹患する人の中で胃がん、肺がんに次いで3番目、女性は乳がんに次いで2番目に多いがんであり、日本人にとっては身近ながんの1つです。 また、50歳~70歳代に多く、60歳代にピークがあります。

ポリープについて

ポリープとは、細胞が異常に増殖してできる突起物の事を言います。がんを見極める上で重要なのが、ポリープの大きさです。1cm以上を超えると、がん化する可能性が高くなります。

大腸がんの症状

引用:国立がん研究センター

<右側の大腸>

  • 腫瘤
  • 腹部膨満感(お腹の張り)
  • 慢性的な出血による貧血

<左側の大腸>

  • 血便
  • 便秘・下痢
  • 便が細くなる
  • 排ガス停止(おならが出ない)

<がんが進行・通過障害>

  • 腸閉塞(腸が詰まってしまい、便が出なくなる)
  • 腹痛
  • 嘔吐

右側の大腸(盲腸・上行結腸・横行結腸直腸)がんでは、大きくなるまでに症状が出にくく、腫瘤として発見されることが多く、腹部の張り感や、慢性的な出血による貧血もみられます。

一方、左側の大腸(下行結腸・S状結腸・直腸)がんは、血便や下痢と便秘の繰り返しや、便が細くなるなどの症状で発見されることが多いのが特徴です。

早期の段階では自覚症状はほとんどありません。しかし、自覚症状が出た後に検査した人の約3割は、すでに「がん」が転移しており、がんは進行していると言われています。

大腸がんの発生の要因・原因

大腸がんの要因・原因①:遺伝的要因

遺伝的なものとしては、「家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)」や「遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC)」があります。

大腸がんの要因・原因②:生活習慣(食生活・運動不足・肥満・飲酒)

生活習慣に関わる大腸がんのリスク要因として、運動不足・野菜や果物の摂取不足など偏った食生活・肥満・飲酒などが挙げられています。食生活では、食の欧米化が進み、低繊維食・動物性たんぱく質・脂肪摂取の増加など原因と考えられており、この20年で大腸がんによる死亡数は1.5倍に増加しています。

大腸がんのステージ(病期)分類

大腸がんの進行度を表すステージ(病期)は、本邦で用いられる「大腸癌取扱い規約」と、国際的に用いられる「TNM分類」の2つがあります。

大腸がんのステージ(病期)は、0から4までの5段階で表記されます。また、TNM分類は、がんの壁深達度(T因子)・リンパ節転移(N因子)・遠隔転移(M因子)の3つの因子を組み合わせて決定され、簡潔にまとめると以下のようになります。

進行度を表す5段階ステージ(病期)

  • ステージ0:がんが大腸粘膜内に留まるもの
  • ステージⅠ:がんが大腸の固有筋膜層までに留まり、リンパ節転移がない
  • ステージⅡ:がんが大腸の固有筋膜層の外まで浸潤し、リンパ節転移がない
  • ステージⅢ:がんの深さ(深達度)に関わらず、リンパ節への転移を認める
  • ステージⅣ:がんの深さやリンパ節転移に関わらず、他の臓器や腹腔内への転移を認める

大腸がんは進行の度合いによって、ステージ0~ステージⅣまでの5段階で分類されます。ステージ0~Ⅱは、大腸のみにがんができている状態。ステージⅢはリンパ節に、ステージⅣでは肝臓や肺など他の臓器にも転移している状態です。

TNM分類①:壁深達度(T因子)~どのくらい深く侵入(浸潤)しているか~

引用:病気がみえる

TNM分類の1つ目の指標となるのが、「壁深達度(T因子)」です。

大腸がんは、大腸の壁の最も内側にある粘膜層から発生します。初めは粘膜層の中に留まっていたがんが、大腸の壁のどのあたりの深さまで入り込んでいるかということが、進行度を判断する基準のひとつとなります。

TNM分類②:リンパ節転移(N因子)~どのリンパ節までいくつの転移があるか~

TNM分類の2つ目の指標となるのが、「リンパ節転移(N因子)」です。

リンパ液(体内より排泄された物質を運ぶ液体)が通る管をリンパ管と呼び、このリンパ管どうしを繋がっているものをリンパ節と呼びますが、深く侵入してきた大腸がんが、リンパ節に転移することがあります。リンパ節のがん細胞はリンパ液によって運ばれ、さらに離れたリンパ節へと転移していきます。

リンパ節転移(N因子)では、リンパ節転移の有無と転移している数で分類されます。

TNM分類③: 遠隔転移(M因子)~肝臓や肺など大腸以外の臓器に転移しているか~

TNM分類の3つ目の指標となるのが、「遠隔転移(M因子)」です。

がんは、進行すると腸壁を破り周囲の組織や臓器に浸潤したり、転移する性質も持ち合わせています。転移様式には、リンパの流れに沿って転移していく「リンパ行性」、血流(静脈)の流れに乗って転移する「血行性」、膀胱などの隣接する臓器や組織へ転移する「播種性」の3つがあります。大腸がんは、肺や肝臓・腹膜などに転移することがあり、血行性転移では、肝臓への転移が最も多いのが特徴です。

遠隔転移(M因子)では、大腸以外の臓器に転移しているかが進行度の判断基準となります。

ステージ別の生存率

生存率とは、がんと診断された患者さんのうち、ある時点まで生存されている割合のことです。大腸がんのステージ別の生存率をみると、ステージ0やⅠのような初期の段階では、90%以上の確率で治ります。そのため、早期発見・早期治療が必要となります。

ここで示されている生存率は、多くのがん患者さんの平均的な値です。患者さん一人ひとりの余命を決定づけるものではありません。

まとめ

年々増加傾向の大腸がんは、食の欧米化が進んでいること原因であると考えられており、この20年で大腸がんによる死亡数は1.5倍に増加しています。大腸の場所によって症状は異なりますが、進行していない早期の段階では自覚症状はありませんので、症状から早期発見するのは難しいです。一方、早期の段階で発見できた場合は、生存率も高いデータがありますので、早期発見・早期治療が必要となります。

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