おうち時間が増えて「目の疲れ」を感じていませんか?
パソコンやスマホの普及で目が疲れている現代人ですが、疲れ目が進行した「眼精疲労」は、放置しておくと、目の疲れや痛みだけでなく、頭痛や肩こりなどさまざまな身体の不調を引き起こす原因となります。さらに、眼精疲労は目の老化を加速させ、認知症のリスクを高める恐れもあります。
そこで今回は、眼精疲労・目の疲れの症状と原因をご紹介します!
眼精疲労とは?疲れ目と眼精疲労の違い
眼精疲労とは、テレビやパソコン・スマートフォンなどの画面を長時間見たり、目を酷使する方に多くみられ、メガネやコンタクトの不具合など、目の使い過ぎや目に負担がかかることで目だけではなく全身に疲れを感じる状態のことを言います。
「疲れ目」は睡眠をとる事で改善が期待できますが、「眼精疲労」は睡眠をとっても十分に改善されず、目の疲れ・痛みに加え、肩こりや頭痛などを引き起こします。進行すると、不眠やうつ症状など目以外にも影響を引き起こす事もあり、目の老化を加速させる恐れがあります。視覚からの情報が減ると、認知症のリスクを高めるとも言われています。
眼精疲労の症状とは?
眼精疲労では、疲れ目と同じような目の症状のほか、全身におよぶ体の症状も現れます。
以下のような症状が代表的なものです。
目の症状
- 目が重い・目の奥が痛い
- 目がしょぼしょぼする
- まぶしい
- 目がかすむ
- 視点を動かしたときにすぐにピントが合わない
- 乾いた感じがする
- 充血する
- まぶたがピクピクする
- まばたきが多くなる
全身の症状
- 頭痛
- 首や肩のこり
- 倦怠感(だるい)
- めまいやふらつき
- イライラ感
- 吐き気
眼精疲労が生じるメカニズムとは?
目の症状が生じるメカニズム
人がものを見るとき、目の水晶体という部分の厚みが変化してピントが調節されます。水晶体の厚みを変化させるのは、水晶体の周りにある毛様体筋と呼ばれる筋肉です。
遠くを見るときは毛様体筋の緊張が緩み、逆に、パソコンなど近くのものを見るときには毛様体筋が緊張します。また、スマホなどパソコンよりも近くのものを見ると、毛様体筋がさらに緊張します。
パソコンやスマホを長時間使用する日常生活では、毛様体筋が緩むことなく、常に緊張状態が続いている事が多くありますので、毛様体筋に大きな負担がかかり疲れ目の症状が現れるのです。
全身の症状が生じるメカニズム
目のピントには自律神経が深く関係しています。自律神経には、活動時に優位になる交感神経と、リラックスしているときに優位になる副交感神経があり、身体のオンとオフを切り替えるスイッチとして働きます。遠くを見るときには交感神経が優位になり、逆に近くを見るときには副交感神経が優位になります。
交感神経と副交感神経がうまく切り替わることで、目のピントを正しく調節できるのです。しかし、現代社会に生きる人々は、パソコンやスマホを使用して仕事やゲームをすることが特徴の一つにあります。
仕事やゲーム中は交換神経が優位になりますが、パソコンやスマホなど近くのものを見ることになりますので、副交感神経が優位になります。このような自律神経のバランスが崩れた状態が長く続くことで眼精疲労になるのです。
ピントを調節する毛様体筋は自律神経によって支配されていますので、目を使い過ぎて毛様体筋が疲れると、自律神経のバランスが崩れて、全身に症状があらわれると考えられています。
原因
眼精疲労の原因の6割がドライアイ、4割が目の中の筋肉の疲労と言われています。しかし、目の使いすぎによる疲れ目とは異なり、眼精疲労の原因は他にも老眼や乱視など様々な要因が絡み合って起こります。
原因は大きく分けて、「目の病気・眼鏡やコンタクトに由来するもの」、「目を使う生活環境」、「身体の病気・ストレスなど全身の異常」が考えられます。
原因①:目の病気(乱視・老眼・ドライアイなど)
見えづらいのに無理して見ようとすることで目の筋肉に疲労が起こります!
眼精疲労を起こしやすい目の病気には次のようなものがあります。
遠視・乱視・近視・老眼が適正に矯正されていない
近視や乱視が進行したり、老視などによって見え方に変化がおきたりして、度が合わなくなったメガネやコンタクトレンズを使い続けることで、網膜にピントを合わせようとして水晶体の厚さを調節する毛様体筋に負担がかかり、眼精疲労が起こす原因となります。
また、左右の視力が大きく異なっている場合には眼鏡の矯正では左右の像の大きさが異なってしまうことがあり、これによっても眼精疲労が起こります。
さらに、実際に視力が低下したり、無理やり見ようとすると、目に力を入れたり、首を前に出す姿勢になります。すると、普段以上に目が疲れ、首コリや肩コリの原因にもなったります。
ドライアイ
ドライアイとは、眼球の表面(角膜や結膜)が乾燥する病気です。長時間のパソコンやスマホなどで目を酷使する人やコンタクトレンズを使っている人がなりやすく、眼精疲労の原因の6割がドライアイによるものと言われています。
ドライアイによって涙の量が少なくなったり、涙の流れが悪くなったりして目が乾くと、目の表面を保護する涙の層(涙液層)が均等でなくなり、ものがはっきり見えにくくなり、眼精疲労の原因になるだけではなく、傷がつきやすくなり感染症を起こしやすくなることもあります。
白内障
白内障とは、網膜に像を結ぶレンズの働きをする水晶体が、加齢などによって白く濁ってしまう病気です。濁りによって生じる見えづらさや視力低下、光が乱反射してしまうことによるまぶしさを感じたりして、眼精疲労の原因となります。
また、白内障の手術では濁った部分を取り出し目の中にレンズを置きますが、それによって手術前とは見え方が変わりますので、その落差によって眼精疲労が起きることもあります。
緑内障
緑内障とは、眼圧が許容範囲を超えて高くなり視神経や網膜などが障害されて、徐々に視野が狭まってしまい、悪化すると失明に至ってしまう可能性のある病気です。
視野が障害されている部分を無理やり補おうとしたり、眼圧が高い時に頭痛など眼精疲労が起きやすくなります。
斜視・斜位
斜視とは、両目の視線が一致せずに左右別々の方角を向いてしまう病気の事です。
一方、斜位とは、物を見るときには視線が一致するものの、視線を合わす対象がない場合(例えば真っ暗な闇の中や目を閉じたときなど)に、左右の眼が別々の方角を向いている病気の事です。
共に物を見る際に、左右の視線を合わせる努力を強いられることになり、眼精疲労の原因となります。
眼瞼下垂
まぶたを開くための眼瞼挙筋という筋肉の末端にある腱膜が加齢やコンタクトレンズの使いすぎなどによりゆるんでしまい、まぶたが垂れ下がったまま上がりにくくなる病気です。視界が狭くなりものが見えにくくなるため、無意識のうちにまぶたを開こうとして力がはいってしまったり、上目遣いになったりする負担から眼精疲労をおこすことがあります。
まぶた(眼瞼)が垂れ下がってくる病気です。視野の上のほうが見えなくなるので、物を見るときに頭を後ろへ反らすなどしなければならず、眼精疲労の原因になります。
原因②:目を使う生活環境・作業環境
目を疲れさせるようなライフスタイル(生活環境・作業環境)も眼精疲労の原因となります!
近年、現代人にとってパソコンやスマホは必要不可欠なツールであり、長く続けることが当たり前になってきています。そのため、仕事だけではなく自宅でも長時間パソコンやスマホを使用している方もいると思います。しかし、パソコンやスマホの使用時間が長ければ長いほどに、目の疲れを感じやすくなり、VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群と呼ばれる症状を起こす人も増えてきています。
原因③:全身の異常(風邪・ストレス・糖尿病・虫歯など)
全身の健康に問題があると、目にかかる負荷に耐える力が足りなくなってしまいます!
風邪やインフルエンザ・虫歯などの一時的な病気、高血圧や糖尿病、耳や鼻などの副鼻腔炎や歯周病といった慢性的な病気、自律神経失調症、更年期障害などから頭痛や目の奥の痛みが発生し、眼精疲労につながることがあります。
また、精神的なストレスを過度に受けると、不安感が異常に強まる、イライラして落ち着かない、眠れないなどに繋がります。すると、心の鬱屈から筋肉がこわばってしまったり、血流に影響が生じたりすることもあります。また、身体に対しても、高血圧・血行不良・胃潰瘍といった多様な病気を引き起こす可能性があり、こうした症状からも眼精疲労を起こすことがあります。
まとめ
目からの情報は7割と言われているくらい目は大事な情報源ですが、現代社会は特に目を酷使する時代です。眼精疲労は目の症状だけではなく、全身の症状も生じますので、目の使い過ぎには注意しましょう!
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