むくみは病気のサイン?タイプ別むくみの原因と病気とは?

美容・健康

女性なら誰しも気になるむくみ。

朝起きたら顔がパンパンに腫れ、夕方になると足がゾウみたいになってしまう……。こんなことが起こることはありませんか?特に、体調や天気が悪いと起こりやすいようです。

しかし、むくみは、生活に支障をきたすほどではないと思われがちですが、数日から一週間ほど続くと病気のサインかもしれません。

そこで今回は、タイプ別にむくみの原因と病気をご紹介します!

むくみとは?むくみ・浮腫の定義

女性に多い浮腫(むくみ)のメカニズムを知ることで【予防と対策を ...

むくみは、医学用語では「浮腫(ふしゅ)」と言います!

人の身体の約60%は水分からできていて、そのうち細胞の中(細胞内)に3分の2、細胞の外(細胞外)に3分の1の割合で分布しています。細胞外は、血液の流れる毛細血管と、細胞と細胞の間(細胞間質液)に水分があり、この細胞外の水分がむくみに関わっています。

血液が流れる毛細血管の壁には微小な穴があり、毛細血管から細胞間質液に染み出した酸素や栄養素を細胞に届け、細胞の代謝によってできる二酸化炭素や老廃物を毛細血管に戻す働きがあります。

むくみは、さまざまな原因によってこのバランスが崩れてしまい、毛細血管から細胞間質液へ染み出す水分量が増える、または細胞間質液から血管に戻す量が減り、細胞間質液が多くなることで起こるものです。また、細胞間質液はリンパ管にも液体を送り込んでおり、リンパ管が手術などによって詰まることがむくみの原因になる場合があります。

むくみが生じると、体重の5~10%以上の水分の貯留があると言われています。重力の関係で、足など身体の下の方に溜まりやすい傾向がありますが、朝など寝た後や寝てる時間が長い人は顔や背中に出やすくなります。また、身体にたまる水分が、まだ体重の5~10%に満たない時は、むくみは目では見えませんが、体重は増加してきます。このような場合を潜在性浮腫と言います。

むくみと腫れ(腫脹)の違いは?

むくみと腫れ(腫脹)は、症状が良く似ています!

腫れ(腫脹)は、炎症などが原因で血液の量が増加して膨らむことを言います。赤くなったり(発赤)、熱をもったり(熱感)、痛んだり(疼痛)します。

一方、むくみは、何らかの原因によって、皮膚や皮膚の下にある細胞間質液に水分が溜まった状態です。腫れ(腫脹)とは異なり、発赤や熱感などの症状はありません。

むくみのタイプ

むくみのタイプは、起こる原因によって異なり、医学的にはむくみの性質・起こる場所によって大きく4つのタイプに分けられます。

まずは、ご自身がどのタイプのむくみなのかを把握しておきましょう!

タイプ分類:起こる場所

まずは、起こる場所によって「全身性・両側性のむくみ」か「局在性・片側性のむくみ」かにタイプ分類することができます。

タイプ①:全身性・両側性のむくみ

全身性・両側性のむくみは、身体の全身・左右両側共にむくみが生じているタイプです。

タイプ②:局在性・片側性のむくみ

局在性・変側性のむくみは、身体の片側だけ・足だけなど局所的にむくみが生じているタイプです。

タイプ分類:むくみの性質

むくみ外来 新設 | 東京血管外科クリニック

次に痕が残るか残らないかによって「圧痕性のむくみ(pitting edema)」か「非圧痕性のむくみ(non-pitting edema)」かにタイプ分類することができます。

まずはひざ下15cmあたり、すねの骨の外側を親指で5秒間強めに押してみて下さい。

その後、指を離した際にくぼみが戻らない方はむくんでいます。

※数秒で分かることが多いですが、より正確に診断するためには、1分程度圧迫し続けて40秒以内に戻るかが判断基準になります。

タイプ③:圧痕性のむくみ(pitting edema)

圧痕性のむくみは、指を離した後も、へこんでいてしばらく元に戻らないタイプです。

タイプ④:非圧痕性のむくみ(non-pitting edema)

非圧痕性のむくみは、指を離すと、すぐに戻って痕が残らないタイプです。

むくみは隠された病気のサイン?タイプ別むくみの原因と病気

むくみに隠れるこんな病気

タイプ①:全身性・両側性且つ圧痕性のむくみ

全身性のむくみを起こす、代表的な病気に、心臓や腎臓の病気があります。

(1)心臓:心臓病(心不全・肺水腫)

心臓は血液の循環を調節しています。心臓のポンプの働きが低下すると、全身へ血液を上手に送れなくなります。そのため、血液のめぐりが悪くなって水分が身体に溜まり、むくみの原因になります。

心臓の機能が低下すると、肺の中の血流も悪くなります。そのため、血管から水分が浸み出し、それを体外へ排出しようと咳が出るようになります。特に寝ている時に咳き込むのが特徴です。

心臓病は、むくみだけでなく、呼吸が苦しい、息切れ、動悸、胸痛などの症状も特徴ですので、その時はかかりつけ医やお近くの医療機関を受診しましょう。

なお、心不全などでみられる全身性浮腫は、身体の低い部位に顕著に起こることが特徴ですが、全身にむくみが存在するのではなく、体位によってむくみが移動することが特徴です。

(2)腎臓:腎不全

腎臓は、身体の水分や塩分の量を調節し、老廃物を尿として排泄します。そのため、腎臓の機能が低下すると、身体の中の余分な水分を尿として排出できなくなり、身体に溜まった余分な水分がむくみの原因になります。

腎臓の機能低下は、尿量の低下や尿の泡立ちが確認するポイントになり、血液検査でも診断する事ができます。

(3)静脈閉塞

(4)薬物性

(5)妊娠・月経前

タイプ②:全身性・両側性且つ非圧痕性のむくみ

(1)肝臓:肝硬変

肝臓は、食べたものをエネルギーに変えたり、アルコールや薬、老廃物を分解したり、胆汁という消化液を作り脂肪の吸収を助けたりします。肝臓で作られるアルブミンというタンパク質は、血液中(血清)の総タンパク質の約60%を占め、血液中の水分を一定に保つ役割があります。

そのため、肝臓の機能が低下してアルブミンが少なくなると、血液中の水分が血管の外へ出やすくなり、むくみの原因になります。肝臓の機能低下は、おなかがむくみやすいという特徴があります。

(2)低栄養

食欲不振や過度なダイエットなどによって低栄養状態になると、血液中のたんぱく質が少なくなります。その結果、血液中の水分が血管の外に漏れるようになり、むくみの原因になります。

低栄養は、血液検査などでTPやアルブミンの値で診断する事ができます。

(3)腎臓:ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は、何らかの原因で腎臓に障害が起こり、血液中のたんぱく質が尿中へ漏れ出てしまうようになると、血液中のたんぱく質が少なくなります。その結果、血液中の水分が血管の外に漏れるようになり、むくみの原因になります。

ネフローゼ症候群は、血液検査などでたんぱく尿としてあらわれます。

(4)甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの産生・分泌が低下し、寒がりになる、皮膚の乾燥、汗をかきにくくなる、便秘、むくみ、体重増加、眠たくなるなどの症状をきたす病気です。

甲状腺機能低下症は、血液検査のTSH項目で診断することができます。 

タイプ③:局在性・片側性且つ圧痕性のむくみ

(1)深部静脈血栓症(DVT・エコノミー症候群)

深部静脈血栓症は、いわゆるエコノミー症候群です。飛行機やバス・新幹線など長時間同じ姿勢でじっとしていて、水分が不足していると、血液の流れが悪くなり、足の静脈の中に血のかたまり(血栓)ができてしまい、血管が塞がれてしまい、むくみの原因になります。

深部静脈血栓症は、超音波検査や血液検査のD-ダイマー項目で診断することができます。

タイプ④:局在性・片側性且つ非圧痕性のむくみ

(1)下肢静脈瘤

足の静脈には一度心臓に向かった血液が逆流して足に戻ることを防ぐ静脈弁がついています。下肢静脈瘤は、その静脈弁が壊れて、逆流した血液が足に溜まってしまう病気です。

「立ち仕事をしている」「家族歴がある」「妊娠と出産を経験している女性」がなりやすい傾向があります。

(2)リンパ性浮腫

リンパ性浮腫は、リンパ管に回収されなかったリンパ液が溜まった状態の事です。リンパ管が手術などによって詰まることがむくみの原因になる場合があります。

リンパ液はたんぱく質を高濃度に含んだ液体です。治療直後に生じることもありますし、10年以上経過してから生じることもあります。

(3)血管性浮腫

血管性浮腫は、急に皮膚が腫れたりむくんだりして数日で消えることが特徴です。皮膚のどこにでも生じますが、特にまぶたやくちびるに多くみられます。皮膚以外に口の中や舌、のど、消化管などにも起こることがあります。消化管が腫れると、お腹が痛くなったり吐き気が生じたりすることもあります。

また、のどが腫れると息がしづらくなり、窒息するおそれがあるので危険です。顔面やくちびる周囲が腫れたときは、顔に続いてのどが腫れることがあるので、救急外来を受診してください。

まとめ

寝ると治るようなむくみは心配ありませんが、一週間以上続くむくみは病気のサインである場合があります。そのため、かかりつけ医やお近くの医療機関を受診しましょう。

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