胃カメラ(内視鏡検査)の流れと7つの疑問

美容・健康

「がん」は、2人に1人がかかる病気であり、今や国民病とされていますが、その中でも「胃がん」は年間5万人近くの命を奪い、男性の第2位に入るほど死亡数・罹患数の多い疾患です。

がんは、一度治療しても他の健康な部位へ転移するなど、再発の危険がある恐ろしい病気です。再発や再燃を繰り返さないためには、早期発見&早期治療が重要となります。

そんな胃がんの早期発見に大切なのが、健康診断や人間ドックで実施される「胃内視鏡検査(胃カメラ)」です。胃がんの対策型検診として国が推奨している検査方法であり、がん診断の精度はかなり高く、胃がんによる死亡率を減少させるために有用な検査であるとされています。

しかし、いざ受けるとなると、分からない事が多いし不安な人も多いと思います。

そこで今回は、はじめての胃カメラ(内視鏡検査)の流れや疑問をご紹介します!

胃内視鏡検査(胃カメラ)とは?

苦痛の少ない胃カメラ検査なら世田谷区の二子玉川メディカル ...

胃内視鏡検査(胃カメラ)とは?

胃内視鏡検査(胃カメラ)は、内視鏡(スコープ)を口もしくは鼻から通し、上部消化管(食道から胃・十二指腸まで)を観察することで、胃の形状や胃の粘膜上に異常(ポリープや腫瘍が疑われる凹凸)がないかを確認する検査です。「胃カメラ」と言っていますが、正式には「上部消化管内視鏡検査」です。

検査中は基本的に、ストレッチャーの上で、左側を下にしてリラックスした状態で横になります。内視鏡(スコープ)で胃の中をみますので、凹凸のあらわれない粘膜の荒れなども発見しやすくなり、早期胃がんの発見に関しては、バリウム検査とは到底比較になりません。

バリウムやレントゲンも使用しませんので、便秘や放射線被ばくなどの心配もなく、便秘症の人や妊娠中の人なども受診に関しての制限もありません。一方で、粘膜の下で進行する「スキルス性胃がん」の発見はやや苦手としています。

胃内視鏡検査(胃カメラ)は、内視鏡(スコープ)を通す時に痛み・苦しみがあるイメージですが、最近では鎮静剤を使用することで、検査時に比較的痛みを伴うことなく検査を実施することが可能です(個人差はあります)。

胃内視鏡検査(胃カメラ)ではどんな病気が分かる?

胃内視鏡検査(胃カメラ)は、口からカメラを入れて、咽頭・喉頭、食道、胃、十二指腸を観察します。検査でみつかる病変には炎症性(荒れている)か、腫瘍性(できもの)に分かれ、合わせて器質的病変と言います。

炎症性(荒れている)によるものは、胃酸が食道に逆流して起こる「逆流性食道炎」や、胃酸で自らの胃を溶かしてしまう「胃潰瘍」、「十二指腸潰瘍」などであり、腫瘍性(できもの)によるものは、食道・胃・十二指腸の「がん」疾患や「ポリープ」などがあります。

他にも、サバなどの魚介類に寄生する寄生虫「アニキサス」、「ピロリ菌」などを早期発見することが可能であり、バリウム検査では見つけることが困難な微細な病気を見つけることが可能です。

しかし、なにも器質的病変が見つからないことで分かる病気もあります。例えば、「自律神経失調症」や「狭心症(心筋梗塞の前段階)」などです。これは『除外診断』という考え方で、器質的な病変が見つからないことで疾患を絞り込むことがができますので、「病変がないことを証明する事」は非常に大切なことになります。

つまり、早期発見はもちろん、除外診断をする上で検査は非常に有効になります。

胃カメラをおすすめしたい方

※下記のチェック項目に3つ以上ある場合は要注意です!!(特に太字)

  • 胃もたれ・胃不快感が続き、すっきりしない
  • 胃が痛い(みぞおちの痛み)
  • げっぷが多い
  • おなかが張る(あまり食べれない)
  • 胸やけがする、胸が痛い
  • のどや、胸がつまったような感じがある
  • からだがダルく、きつい
  • 朝、口のなかが苦い・酸っぱい(ときどき胃酸が上がってくる)
  • 肥満傾向・糖尿病がある
  • 便が黒い(海苔の佃煮の様な便)
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍になったことがある
  • ピロリ菌が気になる
  • 家族にピロリ菌陽性者がいるが、一度も検査したことがない
  • ピロリ除菌成功後、定期的に検査していない
  • 血縁者に胃ガンあり(家族歴)
  • 35歳以上で、まだ一度も胃カメラ・胃透視を受けたことがない
  • 検査は受けていないが、胃ガンが心配
  • ダイエットなしに体重が減った(周囲から痩せたといわれる)
  • 吐き気がある、食後に吐いてしまう
  • おなかにしこりを触れる
  • たちくらみがする(貧血ぎみ)
  • たばこを吸う
  • 毎日お酒を飲む
  • お酒を飲むと顔が赤くなりやすい
  • しょっぱいもの、辛いものが好き
  • 原因不明のせきが続く
  • 最近、ぜんそくが悪化してきた

はじめての胃カメラ(内視鏡検査)の流れ

八千代の眠ってできる胃カメラ内視鏡検査|浜野胃腸科外科 ...

検査前日

  • 食べ物は夜9時まで、飲み物は夜10時まで摂取可能です
  • 食事の内容は制限しておりません。あまりに油っぽいラーメンや中華料理などは避けてください
  • 検査当日は、朝食を摂らずに来院してください

検査当日

  • 検査が終わるまで、飲食は一切禁止です(朝の歯磨きやうがいは構いません)
  • 薬の服用も禁止です。しかし、抗凝固剤(血液をサラサラにする薬)を服用中の方は、事前に医師へお伝えしましょう
  • タバコは吸わないでください(胃液分泌が多くなり、検査が行いにくくなります)
  • リラックスして検査が受けられるよう、ゆったりとした服装で受診しましょう

検査開始

▼鼻から入れる場合は、鼻腔スプレーで鼻を拡げます

▼その後、薬を飲んで胃の洗浄を行います

▼続いて、苦しさを和らげるため、ゼリー状の麻酔を鼻から入れていき、最後に鎮痛剤を打ったら準備完了です。

▼まずは、のどと声帯をチェック

▼続いて、食道と胃のつなぎ目の部分を念入りに見ていきます

▼そして、胃と十二指腸をチェックし、最後に内視鏡を戻しながら、胃を詳しく見ていきます

▼検査時間は、5分~10分程度です。

※検査する施設によって異なります

胃カメラ(内視鏡検査)の疑問

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疑問①:胃カメラ(内視鏡検査)の費用の相場は?

検査費用は医療機関や検査コースによって異なりますが、おおよそ6,000~10,000円程度です。

疑問②:胃カメラ(内視鏡検査)の検査時間は?

胃内視鏡検査(胃カメラ)自体は5分~10分程度で終了しますが、鎮静剤を使った場合、受診者はその作用が切れるまで休む必要があります。

疑問③:胃カメラ(内視鏡検査)は口から?鼻から?どっちが良い?

胃カメラの経路は「鼻からの”経鼻内視鏡検査”」か「口からの”経口内視鏡検査”」のどちらかの検査になります。どちらもメリット・デメリットがありますので、ご自身に合った検査方法を選択しましょう。

オエッとすることが多い人は「鼻からの”経鼻内視鏡検査”」、鼻に炎症などがある人は「口からの”経口内視鏡検査”」をお勧めします。

経鼻内視鏡検査

  • 内視鏡(スコープ)の直径は細いが、その分画質はやや低い
  • 鼻腔が狭くて内視鏡(スコープ)が通らない場合がある
  • 鼻血が出る可能性がある
  • 嚥下反射(オエッとすること)がない
  • 検査中に会話が可能
  • 検査時間が数分長い

経口内視鏡検査

  • 内視鏡(スコープ)の直径は太いが、その分画質は高い
  • 嚥下反射(オエッとすること)がある
  • 痛さや苦しさがある場合がある
  • 鎮痛剤を使用し痛みや苦しみを軽減する事ができる
  • 鎮痛剤を使用した場合、稀に副作用が起こる可能性がある
  • 検査時間が数分短い

疑問④:胃カメラ(内視鏡検査)は痛い?苦しい?

内視鏡検査に対する「痛そう…」や「何だか怖い…」といった不安を感じる人も多いと思います。しかし、検査方法などによって痛みや苦しみを避けることは可能です。

「鼻からの”経鼻内視鏡検査”」を選択した場合、鼻に局所麻酔をし、内視鏡(スコープ)が挿入できるか確認しますので、痛みはほとんどありません。ただし、鼻腔がとても狭い方は胃カメラが鼻腔を通過する際に、鼻の奥が「押された感じ」や「少し痛い」と感じる方がいます。そのため、鼻腔が狭い人は鼻に炎症などがある人は「口からの”経口内視鏡検査”」をお勧めします。

「口からの”経口内視鏡検査”」を選択した場合、内視鏡(スコープ)が舌根(喉の奥)に当たったりすると嚥下反射といってオエッとすることがあり、痛みや苦しみを感じる人がいます。そのため、日常生活でオエッとすることが多い人や痛みや苦しみを感じたくない人は、鎮痛剤を使用したり「鼻からの”経鼻内視鏡検査”」をお勧めします。

疑問⑤:胃カメラ(内視鏡検査)の鎮痛剤の効果は?

鎮痛剤は、経口鎮静法や意識下鎮静法と呼ばれ、「口からの”経口内視鏡検査”」を選択した場合に使用する事ができます。

胃カメラは、喉を通るときが一番辛いですが、少量の鎮静剤を用いて、ウトウト眠っているような状態で受けられます。鎮静剤を使用した場合、「気付いたら終わっていた」「眠っているうちに検査が終了していた」「痛みなく検査を実施できた」「まったく苦しくない」と感じる方が多いようです。

検査開始時に注射器で投与すると、すぐにウトウトしてきて薬の効果があらわれます。鎮静剤の量は、年齢や体格・既往症・服用している薬などに合わせて調整されます。検査中は痛みを伴うことなく身体全体がリラックスした状態になりますので、検査もスピーディに進みます。患者様が苦しむことなく検査を実施できることで、より一層医師が検査に集中できるようになり、がん細胞や病変の見逃しも防ぐことができます。また、全身モニターを装着で呼吸・循環動態を常に確認して細心の注意をはらいながらの検査になりますので、初めて内視鏡検査を受けられる方にも安心して受けていただけます。

鎮静剤は全身麻酔ではありません。寝ている時間は5分から60分程度と、人によりバラツキがあり、検査が終了しても回復室(リカバリールーム)で30分~1時間ほどゆっくりお休み頂ける場所がある施設が多いようです。なお、鎮静剤を使用した検査を受けた場合、原則、帰宅時に自動車・バイク・自転車の運転ができませんので、注意してください。

疑問⑥:胃カメラ(内視鏡検査)は全身麻酔?

全身麻酔という言葉を使う場合は意識を消失させる薬、鎮痛薬に加えて筋弛緩薬を使用する麻酔のことを意味する場合が多く、その場合は人工呼吸器が必要になります。

胃カメラや大腸カメラといった内視鏡検査の時に使用するのは鎮静薬と鎮痛薬で、筋弛緩薬は使いませんので、一般的にイメージする全身麻酔とは異なります。

疑問⑦:胃カメラ(内視鏡検査)の前日の食事は?

  • 前日の夕食は、遅くても夜9時には済ませてください。
  • 当院では前日の食事の内容は制限しておりません。あまりに油っぽいラーメンや中華料理などは避けてください。
  • 検査当日は、朝食を摂らずに来院してください。
  • その他、内服薬などがある場合は、胃カメラを受ける施設にお問い合せください。

まとめ

「がん」は、2人に1人がかかる病気であり、今や国民病とされていますが、その中でも「胃がん」は年間5万人近くの命を奪い、男性の第2位に入るほど死亡数・罹患数の多い疾患です。

しかし、早期の段階で発見できれば、充分に完治が見込める病気です。胃カメラ(内視鏡検査)は、「痛そう…」や「何だか怖い…」といった不安を感じる人も多いと思いますが、年々細くなるカメラ、鎮静剤・安定剤の使用といった工夫が重ねられているので、検査方法などによって痛みや苦しみを避けることは可能です。

症状がない場合でも50歳以上の方は、2年に1度は胃がん検診を受けることを推奨していますので、定期的に受診・検査するようにしましょう。

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