LDLコレステロールが高い原因は?基準値と下げる方法

美容・健康

知っているようで実は知らないコレステロールの謎。コレステロールには悪玉と善玉があり、種類によって診断基準も異なり、その比率によっても病気になるリスクが異なります。

異常な状態でそのまま放置していると、動脈硬化などの様々な命にかかわるリスクを高めてしまうこともあり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性もある、非常に危険なものです!

そこで今回は、コレステロールの数値だけでは分からない意外な原因・改善法などをご紹介します!

コレステロールとは?

人間の身体は細胞から成り立っていますが、この一つ一つの細胞を包んでいる細胞膜の材料がコレステロールです。また、コレステロールはの8割は肝臓で作られ、血液中にある脂質の一種ですが、肥満の原因になるわけではありません。身体の機能を保つホルモンや、小腸で食べ物の消化吸収を助ける胆汁の材料にもなっているなど、コレステロールは体内において重要な役割を果たしています。

このコレステロールには大きく2つの働きがあり、血液に乗って全身に運ばれていきますが、運ぶ役目を担っているのが「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」と「HDLコレステロール(善玉コレステロール)」です。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、肝臓から血液にのって全身の細胞にコレステロールを運ぶ働きをしています。ただし、必要以上に細胞にコレステロールを供給してしまう事もあるため、その欠点からも「悪玉」とも呼ばれています。コレステロールをためてしまうことでコレステロールが血管壁に沈着し、動脈硬化を促進してしまうのです。

HDLコレステロール(善玉コレステロール)

HDLコレステロール(善玉コレステロール)は、余分に運ばれたコレステロールや血管壁にたまったコレステロールを回収して肝臓に戻してくれる働きをしています。この働きによって動脈硬化の進行を防ぎますので、「善玉」と呼ばれています。

コレステロールの診断基準

LDLコレステロールが140mg/dl以上 ⇒ 高LDLコレステロール血症
HDLコレステロールが40mg/dl未満 ⇒ 低HDLコレステロール血症

LDLコレステロールが高い・HDLコレステロールが低い原因とは?

原因①:生活習慣(食べ過ぎ・肥満・運動不足・飲酒・喫煙)

飽和脂肪酸(動物性脂肪)などのカロリーを摂りすぎてエネルギーが余ってしまうと、肝臓で「アセチルCoA」という物質が増え、コレステロールを作り出してしまいます。その結果、肝臓でコレステロールの量が調整できなくなり、血液中のLDLコレステロール(悪玉)が増えてしまいます。

また、運動不足や偏った食事・喫煙・アルコールなどの生活習慣が原因によって起こります。特に、お腹の中に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」の方は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が多くなり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が少なくなりやすい傾向があります。

揚げ物などの脂質の多いものや肉・バターなどの動物性脂肪に含まれる脂は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えやすくなってしまいます。

これまで卵やイカ、いくらなどコレステロールを多く含む食品は、摂りすぎると良くないとされてきました。しかし、厚生労働省が定める食事摂取基準の2015年版では、コレステロールの食事摂取の目標量がなくなっています。実は、コレステロールの多い食品を食べても血液中のコレステロールが上がる人と上がらない人がいます。

さらに肝臓が身体の中のコレステロールを調整しているため、コレステロールの多い食品を食べたからと言って数値が上がるわけではないのです。

原因②:閉経

女性は、閉経も大きく影響します。女性ホルモンの一つエストロゲンには、LDLコレステロールを肝臓に取り込んで分解するのを助ける働きがありますが、閉経するとエストロゲンが減少しますので、血液中のLDLコレステロールが増えてしまいます。そのため、40代からあまり変化しない男性に比べ、女性は加齢とともにLDLコレステロールが上がり動脈硬化のリスクが高まりますので、注意が必要です。

原因③:体質・遺伝

痩せていたり、生活習慣には問題がないのにLDLコレステロールの数値が高い人は、コレステロールを吸収しやすい体質の可能性があります。

遺伝的な要因による遺伝子の異常が原因で、血液中にコレステロールや中性脂肪が異常に増えてしまう「家族性高コレステロール血症」と呼ばれているものもあります。

親や祖父母・兄弟など血のつながったご家族に、脂質異常症や心筋梗塞(男性の場合:55歳未満、女性の場合:65歳未満)を起こした方がいる場合は、遺伝によるものの可能性が高いです。

家族が血管の病気にかかっている人はこの体質の可能性が高くなりますので、このタイプの人はコレステロールを多く含む食品を摂りすぎないようにしましょう。

コレステロールの診断基準と病気になるリスク

コレステロールは、「LDLコレステロールが140mg/dl以上」や「HDLコレステロールが40mg/dl未満」が診断基準となります。LDLコレステロールが高値の場合、動脈硬化症の発症に重要な要因であり、血液中に残された余分な脂が血管壁に付着して、コブのような状態になってしまいます。これに傷がつくと血栓ができ血液の流れをせき止め、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因となります。また、HDLコレステロールが低値の場合も、虚血性心疾患や心筋梗塞の発症リスクが高まります。

しかし、数値だけでは単純に病気になるリスクを判断する事はできません。最新のガイドラインによれば、HDLコレステロールとLDLコレステロールの数の比率(LH比)が大切になります。

LH比:病気となるリスク

LDLコレステロール ÷ HDLコレステロール > 3 を超えると血管内が危険な状態

 1.5以下:きれいで健康な状態

 2.0以上:コレステロールの蓄積が増えて動脈硬化が疑われる

 2.5以上:血栓ができている可能性あり。心筋梗塞のリスクも!

 3.0以上:動脈硬化が進んだ「かなり危険」な状態

LH比の目安としては、「他に病気がない場合は2.0以下」、「高血圧や糖尿病がある、心筋梗塞などの前歴がある場合は1.5以下」することが望ましいです。

また、病気のリスクは、年齢や性別・高血圧などの生活習慣病・喫煙状態などの要因で個人差があります。

LDL(悪玉)を下げる・HDL(善玉)を増やすための生活習慣

(1)食生活(食事・食品)の改善を図る

LDLコレステロール(悪玉)が高い原因は、飽和脂肪酸の摂り過ぎがあげられます。飽和脂肪酸は、バターやラード・生クリーム・肉の脂身、インスタントラーメンなどの加工食品にも多く含まれていますので、控えるようにしましょう。また、摂取カロリーが必要以上に増えると、コレステロールが体内での合成が促進されますので、食べ過ぎには注意し腹八分目を目安に食べるようにしましょう。

一方、LDLコレステロール(悪玉)を吸着して減らす働きがある、大豆や豆腐などの植物性タンパク質や、海藻・きのこ類・豆・根菜などの水溶性食物繊維、不飽和脂肪酸(DHAやEPA)を多く含む、イワシ・サバ・マグロなどの魚類を摂ることも大切です。また、動脈硬化の促進を防ぐビタミンCやビタミンEを多く含む緑黄色野菜やナッツ類なども摂るのもおすすめです。

(2)運動

LDLコレステロール(悪玉)を下げるためにはには、適度な運動も取り入れましょう。ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動は、HDLコレステロールを増やすのにも効果的です。
「日常生活の中で毎日30分を目標にしてウォーキングをすること」が推奨されています。誰かとおしゃべりしながらでも歩き続けられるペースで、まずは15分~30分程度・週3日以上を目安に歩いてみましょう。ひとつ前の駅から歩いてみたり、通勤の際や外出の際に電車や自転車を使わずに歩いたり、エスカレーターではなく階段を使ってみたりするのも効率的かもしれません。

その他にも、水泳やサイクリング・ラジオ体操などもおすすめです。運動の強さは、楽だと感じるくらいからややきついと感じるくらいが目安です。

(3)禁煙

LDLコレステロール(悪玉)を下げるためには、タバコを控えることが効果的です。タバコには、LDLコレステロールを増やして、HDLコレステロールを減らしてしまう作用があります。さらに、血圧の上昇を招き、動脈硬化を進行してしまう可能性もあります。さらに、喫煙はがんなどの病気を引き起こす要因のひとつにもなりますので、LDLコレステロール値が気になっている人は、今すぐにでも禁煙を始めてみましょう。

まとめ

コレステロールはすべての方に悪いわけではありませんが、動脈硬化症を促進してしまう要因です。
下げる必要がある方は適切に下げる努力をし、場合によっては薬をきちんと飲む必要もあります。

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