再発率8割?死ぬほど痛い尿路結石の原因・検査・予防法とは?

美容・健康

「尿路結石」は夏に多く発症し、暑いこの時期が最も危険な時期となります。「夜中に激痛で目が覚めた」・「痛すぎて救急車で病院に行った」など、結石による痛みは、想像を絶する痛みに襲われると言われ、人間が感じる最も強い痛みの一つとされています。

発症するのは中高年の男性だけではなく、若い女性にも急増中であり、結石の患者数は、年々増え続け、40年の間に3倍に膨れ上がっています。

そこで今回は、尿路結石の原因・検査・予防・再発防止法ついてご紹介します!

尿路結石とは?

尿の中に含まれているカルシウムやシュウ酸などが結晶化し、それがたんぱく質などと結合して固まったものを「結石」と言います。

尿は腎臓で作られ、尿管を通って、膀胱に溜められ、尿道を通って外に排泄されますが、この尿の通り道を「尿路」と言い、腎臓・尿管・膀胱・尿道に結石ができる病気を総称して「尿路結石症」と言います。

中年以降の男性に多く発症することが多く、日本の男性は年間で約500人が尿路結石症に罹患しています。尿路結石症は、食生活の欧米化によって更に増加傾向にあり、男女比は2:1ですが、近年は女性にも増えてきており、男性の7人に1人、女性の15人に1人が一生のうち一度は尿路結石にかかると言われています。また、若年層の男性が発症することも多くなっています。

結石が詰まっていると腎機能の低下に繋がる可能性もありますので、早期の治療が重要です。また、再発が多く5年間で30〜40%と言われており、期間を限定しなければ80~90%再発すると報告されています。さらに、生活習慣病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症・痛風など)がある方に多く発生しやすいというデータも結石患者の40%は肥満の方であるという報告もされています。

尿路結石の種類

部位による分類

尿路結石は、結石ができる場所によって下記の通りに分類されます。

  • 腎臓に結石ができるものを「腎結石」
  • 尿管に結石ができるものを「尿管結石」
  • 膀胱に結石ができるものを「膀胱結石」
  • 尿道に結石ができるものを「尿道結石」

また、腎臓・尿管にできた結石は「上部尿路結石」、膀胱・尿道にできた結石は「下部尿路結石」と言います。尿路結石の95%は上部尿路結石です。上部尿路結石と下部尿路結石では、原因や治療法に多少の違いがあります。

結石の種類による分類

尿管結石は、結石を構成する成分により数種類の結石に分類されます。

シュウ酸カルシウム結石・リン酸カルシウム結石・尿酸結石・リン酸マグネシウムアンモニウム結石・シスチン結石が代表的なものであり、最初の3つが高頻度にみられます。

尿が酸性かアルカリ性か(尿のpHで)で結石のでき方が変わります。 酸性の尿では尿酸結石ができやすくなり、アルカリ性の尿ではリン酸カルシウム結石ができやすくなります。

尿路結石の症状

  • 疝痛発作(背中から腰にかけての激しい痛み)

急な腰痛・腹痛で発症することが多いです。痛みはわき腹や背中・鼠径部・下腹部が特徴的に出現します。夜間や早朝に起こることが多いですが、常に激しい痛みとは限らず、痛みは2~3時間続き、その間は数分おきに痛みが強くなるというように、痛みの強弱に波があるのが特徴です。また、鈍痛や重苦しさだったりすることもあります。

  • 血尿

結石が尿路粘膜とこすれて、血尿が出ることがあります。

  • 残尿感・頻尿

結石が膀胱のほうに下がってくると、残尿感や頻尿など、膀胱炎のような症状となる場合があります。

  • 冷や汗
  • 吐き気・嘔吐
  • 顔面蒼白
腎結石の症状

「腎結石」は無症状で経過することが多いですが、腰背部から側腹部にかける激痛や下腹部への放散痛が生じます。夜間や早朝に起きることが多く、通常、3~4時間持続します。

また、腎盂腎炎を併発し、38~40度の発熱を呈したり、結石周囲の細菌感染のために膿尿や細菌尿のみを認めることもあります。

膀胱結石や尿道結石の症状

「膀胱結石」や「尿道結石」では、膀胱刺激症状を伴うことも多く、尿流の途絶が生じたり、頻尿・残尿感が起こります。

尿路結石の原因

尿路結石は、何か一つの原因で起こるわけではなく、「尿路の通過障害」・「感染」・「寝たきり」または「骨折」・「食事(動物性タンパク質や脂肪の過剰摂取)」・「内分泌・代謝異常」などさまざまな要因が考えられます。

そのため、半数以上は原因不明の「特発性結石症」と言われ、ごくわずかですが遺伝性のものもあります。また、骨のカルシウムが血中に移行し血液のカルシウム濃度が異常に上昇して結石ができやすくなる「原発性副甲状腺機能亢進症」も原因の一つと考えられている。

他にも、日常生活上で「シュウ酸」・「尿酸」・「水分不足」・「乳酸」が原因となることが多くあります。

シュウ酸を多く含むコーヒー・紅茶を毎日飲む

コーヒーや紅茶には「シュウ酸」が多く含まれています。
シュウ酸は腎臓に入るとカルシウムと結合してシュウ酸カルシウム結晶を作りますが、尿路結石の80%はこの結晶から作られています。シュウ酸は、他にもホウレン草やレタス・キャベツ・ナス・バナナ・サツマイモ・タケノコ・ココア・チョコレートなどに多く含まれています。摂り過ぎには注意しましょう。

シュウ酸が問題になるのは腎臓内でカルシウムと結合する時ですので、上記の食品を摂る際にはカルシウムと同時に摂取するのがおすすめです。例えば、ホウレン草にはかつお節をかける、コーヒーや紅茶にはミルクを入れるなどすると、シュウ酸は胃や腸でカルシウムと結合して便として排出されます。

尿酸を多く含む食べ物・尿酸値を上げない

血液中の「尿酸」は様々な結石の原因になります。尿酸値を上げる原因となるプリン体を多く含む食品(エビやいくら・明太子・ビールなど)にも注意しましょう。

花粉症・下痢などによる水分不足

花粉症によって鼻水がでたりくしゃみが出たり、下痢などによって、 身体の中の水分が不足し脱水状態になると、 尿が濃くなり、結石の元となる結晶ができやすい状態になります。

夏に尿路結石が増えるのも、汗をかいて体内が水分不足になるためです。そのため、尿路結石を防ぐ為には1日2L以上の水分摂取が推奨されています。

激しい運動による乳酸

激しい運動で作られる「乳酸」は、尿酸の排出を妨げると言われています。そのため、尿酸が身体の中に残り、尿酸値が上がってしまい、結石ができる原因になります。

運動不足はよくありませんが、あまり運動をしない人が急に激しい運動をするのもお勧めできません。
そのため、ゆっくりとしたペースで普段から運動を継続しましょう。

尿路結石の診断・検査

まずは、しっかり検査することをおすすめします!痛い検査はありませんので、迅速かつ正確に診断してもらいましょう。

  • どこに?(結石の所在:腎臓・尿管・膀胱・尿道)
  • どの程度の大きさ?(大きさは何ミリ?)
  • 腎臓のダメージの程度は?
  • 今後の見通しは?

検査①:腹部超音波(エコー)検査

大まかな腎臓の様子(腫れていないか:水腎症)、腎臓付近の結石の有無を診ます。

検査②:腹部レントゲン検査(KUB)

X線(レントゲン)にてにて結石の場所と大きさを診ます。レントゲンに写らない結石も多くあります。大がかりな検査ですが、左右の腎臓の状態・結石の位置・数・大きさを把握するために行うことがあります。また、腎盂腎炎合併の有無の検索もできます。

検査③:CT検査

尿路のどこに、どの程度に結石があり、それにより尿路がどのようになっているのか診る検査です。

尿路結石の治療法

治療法①:自然排石/薬による治療

まずは、自然に尿と一緒に結石を出す(排石)治療法です。

痛みがある場合には、痛みを抑える治療を同時に行います。結石の成分によっては、結石のごく一部を溶かす治療も行うこともあります。しかし、溶かす治療はほとんど効果が認められない場合が多いのが現状です。

結石の大きさが径4mm以下の場合、約50%確率で自然排石が期待できるとされています。1ヵ月以上自然排石できない場合は手術を考慮することとなります。

治療法②:体外衝撃波結石破砕術 (ESWL)

「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」は、体の外から衝撃波を当て結石を割る治療です。

砕石された結石が尿と一緒に排石させます。日帰り~数日の入院で治療が可能であり、また、切開をしない手術法でもありますので、負担の小さい治療法です。しかし、結石が固く砕石できない場合も少なくなく何度も治療を行う場合もあります。

また、砕石された結石が粉々にならず、大きな破片となり、新たに尿路に詰まってしまい激痛の原因となることもあります。結石の場所や大きさ・硬さによっては内視鏡治療を選択したほうが効果が高い場合もあります。近年、世界的にこの方法を選択することが大きく減ってきている状況です。

治療法③:経尿道的尿路結石砕石術(TUL)

「経尿道的尿路結石砕石術(TUL)」は、内視鏡を使用した治療方法です。

尿道から細い内視鏡(カメラ)を入れて尿管または腎臓の結石をレーザや空気衝撃波などの砕石装置で砕石します。数日~1週間以内の入院で治療可能。破砕された結石片は、手術中に体外に取り出すこと ができます。使用される内視鏡は、硬性内視鏡か軟性内視鏡のいずれかで、治療部位により選択されます。治療効果の高い手術として近年増加しており、切開をしない手術法ですので、比較的不安などもなく可能です。

治療法④:経皮的尿路結石砕石術(PNL)

「経皮的尿路結石砕石術(PNL)」は、内視鏡を使用した治療方法です。

背中に小さな穴を開け、その穴から心臓に向かって内視鏡を入れ、腎臓の結石を砕石、取り出す治療です。入院期間は、1~2 週間程度になります。比較的大きな腎結石に対して行われることが多い手術です。破砕した結石片は、比較的短時間で体外に取り出すことができます。一方、腎臓に穴を開けますので、出血のリスクもあります。

予防・再発防止法

尿路結石は再発が多いことで知られています。再発率は5年間で20%、20年間で80%と言われています。そのため、治療が終わっても再発予防を行う必要があります。

1日2リットルの水分摂取

尿中のミネラルの濃度を低くし結晶化を避けるために、水分を十分とりましょう。1日に2リットル以上を目安に摂取する事を推奨していますが、暑い日や運動などで汗をかいた場合などはさらに摂取するようにしましょう。

ただし、アルコールや糖分が多いジュースを大量に飲むのは逆効果です。ビールにはプリン体が多く含まれていますので、尿酸結石の生成を促進する原因になる可能性があります。また、糖分を多くを含む清涼飲料水や甘味飲料・コーヒー・紅茶も過剰な摂取は推奨しませんので、カフェインや糖分を含まないミネラルウォーターや麦茶・ほうじ茶を摂取するようにしましょう。

運動習慣を身に付ける

小さな結石は、運動により自然排出の促進が期待されます。また、運動習慣をつけることにより骨が丈夫になり、カルシウム溶出を防ぐ効果がありますが、激しい運動をするのもお勧めできませんので、ゆっくりとしたペースで普段から運動を継続しましょう。

バランスの良い食事

シュウ酸とプリン体を控える

「シュウ酸」と「プリン体」は、体内で分解されると尿酸となり、尿酸は結石の原因です。そのため、食事から摂り過ぎないように注意することで再発を予防できる可能性があります。

シュウ酸を多く含む食物は、ほうれん草・タケノコ・ブロッコリー・カカオ・紅茶・お茶(とくに玉露・抹茶)など、 プリン体を多く含む食物は、肉類(特に動物の内臓)・魚介類・干物・ビールなどです。

カルシウムを摂る

基本的に尿路結石の予防には、十分なカルシウム摂取が必要と言われています。「カルシウム」は、腸の中でシュウ酸と結合し、シュウ酸が体内に吸収されるのを防ぐことで結石予防に繋がることが知られています。日本人のカルシウムの摂取量は不足していると言われていますので、注意して摂るようにしましょう。

クエン酸を摂る

「クエン酸」とは、果物などに含むすっぱい成分です。クエン酸をとると尿がアルカリ化され、結石の作りにくい環境になることが分かっていますので、注意して摂るようにしましょう。

塩分を控える

過剰な塩分摂取が、結石の再発に関連していることが知られています。そのため、濃い味付けや漬物・汁物・麺類などは塩分を多く含む食材ですので、控えるようにしましょう。

肥満に注意する

男性結石患者の40%以上に肥満(BMI>25kg/㎡)がありました。さらに、日本人女性の肥満の割合は減少傾向にあるのに、女性の結石患者では、25%が肥満と一般国民より高い肥満率を示していたという報告があります。また、海外の研究ではBMIの高い肥満の人ほど尿路結石発生のリスクが高いと報告されています。このように最近、肥満と尿路結石の関連もあるのではないかと言われてきていますので、肥満を避けることも目標として、一日三食の規則正しい、バランスの良い食生活を心がけましょう。

遅い時間帯の食事は控える

夜遅い時間帯での食事は控えるようにしましょう。「結石は夜作られる」という言葉があります通り、結石は就寝中に最もできやすい環境になっています。遅い夕食や就寝から眠りにつくまでの時間が短いと、寝ている時に多くの栄養が吸収され、尿の中の結石の原料が多く排出され、結石が作られやすくなります。そのため、夕食は腹8分目に控え、夕食から就寝までは少なくとも4時間空けることが推奨されています。また、夕食後の水分摂取も効果的です。

まとめ

尿路結石は治療が終わっても再発することが多いのが現状です。しかし、しっかりと予防をすることで再発をなるべく防ぐことを心がけて生活しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました