原因は変わらないけど、春や秋など過ごしやすい季節や季節の変わり目や、ちょっとしか環境の変化などがあると、なぜか体調を崩す人やイライラする人も多いのではないでしょうか?その体調を崩す原因は、もしかしたら「自律神経の乱れ」かもしれません。気温・気圧の変化やストレスなどは、自律神経が乱れる原因となり、それが体調不良へつながります。
そこで今回は、自律神経が乱れる原因や自律神経を整える方法をご紹介します!
自律神経とは?
自律神経は、循環・呼吸・消化・分泌・排泄・血液循環・体温調節など、基本的な生命活動(自律機能)の維持にために、無意識的に24時間働き続けている神経のことです。
自律神経は、内臓・心臓・血管・消化器などほぼ全身に分布さており、生命の恒常性(ホメオスタシス)の維持に重要な役割を果たしています。
神経系は、機能の面から体性神経系(骨格筋の運動や体性感覚に主に関わる)と自律神経系(内臓・心筋・平滑筋)の2つに大別されます。体性神経系と自律神経系の大きな違いは、体性神経系が随意的な制御を受ける(意志に基づいて働く)のに対し、自律神経系は不随意的、無意識的な制御であることです。
自律神経の緊張が亢進すると、体のだるさ・便秘や下痢・頭痛・ほてり・動悸・しびれなどの症状が出現します。
自律神経の作用(交感神経・副交感神経)と働き
自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、お互いに相反する役割を担っています。各器官によって以下のように異なりますが、交感神経は、散瞳・心拍数増加・血圧上昇など、エネルギーを消費する(車で例えるとアクセルの)働きがあり、一方、副交感神経は、縮瞳・心拍数減少・血圧低下・消化管運動の促進など、エネルギーを確保する(車で例えるとブレーキの)働きがあります。
自律神経系には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、お互い相反する役割を担っています。
この2つの神経をバランスよく整えることが、身体のコンディションを良くすることにつながります
自律神経失調症とは?
「自律神経失調症」とは、特定の疾患名ではなく、不規則な生活習慣やストレスなどにより、身体の活動時や昼間に活発になる交感神経と、安静時や夜に活発になる副交感神経の2つのバランスが乱れるために起こる、様々な身体の不調のことです。
検査で異常が見つからず原因不明の場合に診断されてしまうこともありますが、きちんとした検査と問診で、原因をつきとめることができますので、ご自身の状況をしっかり把握し、適切な治療を行いましょう。
自律神経の症状
自律神経系の障害によって生じる代表的な症状は下記のようなものがあります。
- ホルネル症候群と呼ばれる目・眼孔異常(縮瞳・散瞳)、眼瞼下垂
- 起立性低血圧・食事性低血圧と呼ばれる立ちくらみ
- 脈拍の異常(徐脈・頻脈・不整脈など)
- 睡眠時呼吸障害(不眠)
- 排尿障害(頻尿・排尿困難・残尿など)
- 排便障害(便秘・便失禁・下痢など)
- 発汗異常(発汗低下)
- 勃起障害(ED)
- 皮膚栄養障害・潰瘍
自律神経障害をきたす病気
自律神経障害をきたす病気は多岐にわたります。症状が出る箇所に応じて、「全身性障害」と「局所性障害」に大きく分けられます。
全身性自律神経障害
- 多系統萎縮症(特にシャイドレーガー症候群)
- パーキンソン病
- 進行性自律神経機能不全症(PAF)
- 自律神経ニューロパチー(突発性)
- ギランバレー症候群
- 糖尿病性ニューロパチー
- 家族性アミロイドポリニューロパチー
- 脊髄空洞症
- 多発性硬化症
- 甲状腺機能亢進症
局所性自律神経障害
- ホルネル症候群
- アーガイルロバートソン瞳孔
- アディー瞳孔
- 反射性交感神経性ジストロフィー(複合性局所疼痛症候群)
自律神経を乱す原因
(1)気温差・気圧の変動
春は気温や気圧が日々変わり続けますので、それに対応するため自律神経が優位になります。夏は熱を逃がすために、血管拡張する副交感神経が優位になります。逆に冬は熱を逃がさないように、血管収縮する交感神経が優位になります。そして、寒暖差の大きい春や秋は副交感神経が優位になったり交感神経が優位になったりして自律神経が酷使されますので、自律神経の乱れにつながります。
また、春や秋は天候が不安定であり、また、秋は台風が多く、気圧が大きく変化する季節です。気圧が下がると人はストレスを感じます。ストレスは交感神経が活発に働き始めますが、ストレスがかかり続けると交感神経優位の状態が続きますので、その結果、筋肉が緊張し硬くなりますし、疲弊してしまい自律神経の乱れに繋がります。
気温の変化や気圧の変化が激しいと、自律神経はどちらに身体を調節して良いかわからなくなります。自律神経の調節がうまくいかなくなると、身体に大きな不調をきたすこともあります。
(2)ストレス
自律神経に影響を与える「ストレス」は、気圧だけではなく、引っ越しや職場の異動・イベント事や環境が変わることなど、仕事や日常生活のいたるところに潜んでいます。ストレスを感じると交感神経が過剰に働きます。
さらに男性は30代、女性は40代から副交感神経の働きが低下し、より交感神経が優位に働きやすく、ストレスが溜まりやすくなります。また、自分では楽しいことをしているつもりでも実際にはストレスを感じていて、自覚がないにも関わらず自律神経が乱れることがあります。すると自律神経のトータルパワーが下がり、無気力や不眠・疲労がとれないなどの症状が現れ、ひどいとうつ病になることもあります。
(3)睡眠
自律神経を乱す原因として、最近問題になっているのが「睡眠」です。本来睡眠中は副交感神経が優位になっているべきですが、ストレス社会の現代で、交感神経が高いまま睡眠に入っていることが多く、本人はちゃんと寝ているつもりでも良い睡眠がとれていないことが多いのです。
生活習慣の影響も大きく、スマートフォンやパソコンを長時間見ていると交感神経が刺激され、いざ眠ろうと思っても頭が冴えてなかなか眠れなくなります。結果、朝起きられなくなり、昼夜逆転の生活になってしまい、自律神経に不調を来してしまいます。
(4)月経前や更年期
女性は、「月経前」や「更年期」も原因のひとつとなります。月経前や更年期で女性ホルモンが急激に低下することによって、自律神経の乱れにつながり、ほてりや頭痛・めまいなどの不調が現れることもあります。
自律神経のタイプ診断・セルフチェック
タイプAかタイプB、当てはまるものにチェックしてみましょう。
※タイプAが4個以上当てはまると交感神経強め型、タイプBが4個以上で副交感神経強め型となります。
自律神経の機能検査
自律神経障害を疑う場合は、詳細な問診とともに、必要に応じて下記のような検査が行われます。
自律神経を整える方法・治し方
(1)深い呼吸:腹式呼吸
自律神経を整えることで大切なのが、「深い呼吸」です。呼吸の中でも息を深く吐く「腹式呼吸」がおすすめです。息を3秒吸って6秒で吐きます。吸う時にお腹を膨らませ、吐くときにお腹をへこますようにしましょう。
深い腹式呼吸をすると副交感神経が刺激されリラックスできます。この呼吸法はとくに、緊張したとき、イライラした時におすすめです。現代人はストレスなど、何かと交感神経が優位に働きやすい状況にありますので、副交感神経の働きが高まるよう、吐く息を意識しましょう。
(2)運動
休みの日にだらだら過ごすと副交感神経が上がりすぎてしまい、逆に月曜日につらくなってしまいます。おすすめは「散歩(ウォーキング)などの運動」をすることです。歩くことで血流量・血圧・心拍などが変動しますので、あえて自律神経を揺さぶって、バランスを取らせることで鍛えることができます。また、五感を刺激し適度に交感神経が活性化します。
なお、複数人での運動は、緊張したり、周りに気を配ったりすると脳血流が低下してしまいますので、自律神経を鍛えるためにはできるだけ一人で行うことをおすすめします。
(3)入浴・お風呂
身体を温めることは、自律神経を整える効果があります。中でも、「入浴」をすると全身の血行が良くなり、体に蓄積された疲労物質を取り除く効果が期待できます。自律神経のバランスを整えるためにも、シャワーで済ませるのではなく、お湯にゆっくり浸かるのがおすすめです。但し、熱いお湯ですと自律神経が優位になってしまいますので、38度~41度のぬるめのお湯に10分~15分を目安に入るようにしましょう。また、入浴は自律神経を整えるだけではなく、睡眠障害の改善にも繋がります。
自律神経障害の治療薬
自律神経障害の治療には薬物療法も治療のひとつとなります。自律神経障害に対する代表的な薬物治療薬の例は下記のとおりです。
基礎疾患がある場合は、基礎疾患の治療を行いましょう。
まとめ
自律神経は、日常生活のちょっとした変化によって乱れるものです。しかし、規則正しい生活(適度な運動やバランスの摂れた食生活)や腹式呼吸や入浴などでも整えることができますので、原因の分からない体調不良を感じた場合は、自律神経を整えるようにしましょう。
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