便秘は女性の敵!便秘に悩まされている女性の方も多いのではないでしょうか?
便秘が続くと、お腹が張って苦しかったり、おならが続いたり、皮膚に吹き出物ができたり、さまざまなトラブルが発生します。
しかし、便秘といってもさまざまなタイプが存在し、そのタイプによって原因も異なります。
そこで今回は、便秘の定義・ガイドラインとは何か?また、便秘のタイプと原因をご紹介します!
便秘・便秘症の定義・ガイドラインとは?
便秘とは、大腸内に内容物が長時間停滞して通過が遅くなり、内容物から水分が必要以上に吸収される状態をいいます。その結果、便が硬くなり、排便回数や量が少なくなります。排便回数や量がどのくらいで便秘と呼ぶかについては、厳密な定義はありません。
便秘に関する厳密な定義はありませんが、複数の学会やガイドラインでは下記のように定義されており、医療が必要とされるほどの症状が出現した状態が「便秘症」と呼ばれます。
定義①:日本内科学会
「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」と定義されています。
定義②:日本消化器学会
「排便が数日に1回程度に減少し、排便の感覚が不規則で便の水分含有量が低下している状態(硬便)」を指しますが、明確な定義はありません。
定義③:国際消化器病学会(RomeⅢ)
- 排便回数が週3回未満
- 排便時の25%以上(4回に1回以上)が硬便
- 用指的排便(指や綿棒などを用いて強制的に排便させる行為)が25%以上
- 努責(排便時に強くいきむこと)、残便感、閉塞感のある頻度が25%以上
定義④:慢性便秘症診療ガイドライン
「本来体外に排出すべき糞便をを十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。
便秘の症状
- 何日も排便がない
- 腹部膨満感
- 腹痛
- 腹鳴
- 排便困難感(下剤を飲まないと便が出ない)
- 過度の努責(排便時に強くいきむこと)
- 便が硬かったり、小さなコロコロの便が出る
- 残便感(便が出ても残っている感じがある)
- 肛門のつまり
便秘のタイプとは?
一言に便秘といっても、便秘には様々なタイプが存在します。
タイプ①:機能性便秘
機能性便秘は便秘の中で最も多いタイプであり、生活習慣やストレス・加齢などの影響を受けて、大腸や直腸・肛門の働きが乱れると起こる便秘のことです。
機能性便秘は、原因別に更に3つに分類することができます。
タイプ①-1:弛緩性便秘(腸の動きが悪い)
弛緩性便秘は、大腸の蠕動運動が低下することで便を押し出すことができず、便が大腸内に長く留まり、水分が過剰に吸収されて硬くなるタイプです。
便秘の中でも最も頻度が高く、女性や高齢者に多いタイプです。朝食を摂らなかったり、運動不足・水分不足・食物繊維不足・極端なダイエットなど、乱れた生活習慣が原因で生じ、お腹が張る・食欲の低下・便が出きらない残便感・肩こり・肌荒れ・イライラなどの症状が起こります。
タイプ①-2:痙攣性便秘(腸が痙攣を起こす)
痙攣性便秘は、大腸が痙攣するように動いてしまい(蠕動運動に連続性がなくなり)、便がスムーズに肛門の方にうまく進んでいかず便秘になるタイプです。
比較的若年層に多いタイプであり、ストレスなどによって自律神経が乱されて大腸が過敏になることがが原因で生じ、便秘と下痢を繰り返す・ウサギの糞のようにコロコロとした便が出る・下腹部痛・残便感などの症状が起こります。
タイプ①-3:直腸性便秘(直腸に便が溜まる)
直腸性便秘は、便が直腸まで送り出されてにも関わらず便意が生じなくて起こる便秘です。直腸内に大量に便がたまって水分が吸収されますので、硬くなった便が蓋をした状態になってしまいます。
通常、便は直腸に送り出されることで直腸のセンサーが働き、便意が生じます。しかし、便意があっても排便を我慢することが多いと、直腸の神経が鈍くなってしまいます。女性が便秘しがちな理由の一つです。また最近は、温水洗浄便座の水を肛門の奥まで入れるために神経の感度が鈍り、便秘になる人が増えています。
タイプ②:器質性便秘
器質性便秘とは、イレウスや大腸がん・ポリープ・手術後の腸管癒着などの器質的な原因によって、消化管(小腸・大腸)の中を便がスムーズに通過できずに起こるタイプです。
原因に応じて治療が必要な場合がありますので、血便、激しい腹痛、嘔吐などがあればすぐに病院へ行きましょう。このような便秘では腸管穿孔を起こす恐れがありますので下剤を使用してはいけません。
タイプ③:症候性便秘
症候性便秘とは、甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症などによって大腸の蠕動運動が弱くなり、便秘になるタイプです。また、神経損傷や糖尿病の合併症などで、神経の働きが不調になる場合もあります。
女性に多い病気であり、女性が便秘になる原因に一つです。
タイプ④:薬剤性便秘
薬剤性便秘とは、抗うつ薬・抗コリン薬(ぜん息や頻ひんにょう尿、パーキンソン病などの薬)・せき止めなどが原因で、大腸の蠕動運動が弱くなり、副作用で便秘になるタイプです。
なぜ女性に多い?便秘の理由・原因とは?
便秘は女性に多く、日本人女性の半数以上に便秘の症状がみられると言われており、悩みのひとつに挙げられます。
女性が便秘になりやすい理由は、主に下記の4つです。
女性に多い理由・原因①:身体的理由
女性は、男性に比べると腹筋が弱いため、大腸が便を送り出す力(蠕動運動力)が弱く、便秘の原因になります。
女性に多い理由・原因②:ホルモンの作用
女性は、女性ホルモンのひとつである「黄体ホルモン」が身体に水分や塩分を溜め込む働きがありますので、大腸の腸壁から便の水分が吸収されて便が硬くなり、便秘の原因になります。
また、「黄体ホルモン」は妊娠したときに、流産しないように子宮筋の収縮を抑制する働きもありますので、それが腸にも影響して蠕動運動を低下させます。
特に月経の前や妊娠初期には、この「黄体ホルモン」の分泌が多くなりますので、大腸の蠕動運動が低下し、便も硬くなり、便秘になりやすい傾向にあります。
女性に多い理由・原因③:過度な食事制限や無理なダイエット
女性に多い過度な食制限や無理なダイエットも便秘の原因のひとつです。
過度な食事制限による無理なダイエットは、便を作るのに必要な食物繊維や水分・脂肪分を減らすことになります。それにより、便のかさが不足したり腸の蠕動運動の低下につながり、便が硬く、排出されにくくなります。
女性に多い理由・原因④:精神的な理由
女性は、忙しさや人前での恥ずかしさ、外出先でのトイレの行列など様々な理由からトイレを我慢することも多く傾向にあります。
また、外出や旅行など環境の変化によるストレスの影響も受けやすい傾向にあり、それが便秘の原因になります。
便秘のタイプ別の原因とは?
タイプ①-1:機能性便秘/弛緩性便秘(腸の動きが悪い)
原因①-1-1:運動不足
運動不足は、腸の蠕動運動の低下になり、便秘の原因になります。
例えば、デスクワークなどで長時間同じ姿勢をとっていると筋肉が緊張してしまい、腸が硬くなったり動きが鈍ってしまうことで、腸の蠕動運動が低下してしまいます。
また、排便でいきむときには、腹筋が大きく関わっています。運動不足で腹筋が衰えると、便を押し出す力が弱くなりますので便秘の原因になります。高齢者に便秘が多いのは、加齢で腸の機能が衰える上に、腹筋が衰えていきむ力が弱まってしまうことも原因のひとつと言われています。
原因①-1-2:水分不足
水分不足は、便を硬くしてしまい、便秘の原因になります。
便は、大腸に送り出された食べかすから水分を吸収して作られます。水分が十分に摂れていれば、適度に水分を含んだ腸内を移動しやすい硬さの便の形成につながります。水分で便のかさも増しますので、腸壁を刺激して蠕動運動も活発になります。
しかし、水分が不足している状態だと、不足した水分を便から更に吸収することになりますので、便が硬くなってしまい、便が腸内をスムーズに移動しにくくなってしまいます。
水分は、1リットルの水を飲んだ場合、900mLは小腸に吸収され、大腸に到達するのは100mL程度と言われています。水分不足の場合、硬い便になりやすくなりますが、大腸に留まる時間も長くなりますので、更に水分を奪われ、ますます硬く出にくい便になってしまい、便秘の原因になります。
タイプ①-2:機能性便秘/痙攣性便秘(腸が痙攣を起こす)
原因①-2-1:ストレス・緊張する環境
ストレスは、腸の蠕動運動を低下させてしまい、便秘の原因になります。
近年の研究結果で、ストレスと腸の運動は非常に密接な関係にあることが分かっています。旅行に行くと必ず便秘になる人やストレスを感じると便秘になる人は、自律神経の乱れから起こる便秘である可能性が高いです。
腸は、リラックスモードである副交感神経が優位の時に活発に働く作用がありますので、ストレスが溜まったり旅先などの慣れない環境で身体が緊張していると、腸の蠕動運動も抑制され、便秘の原因になります。
また、偏食やジャンクフードの食べ過ぎなど、腸内環境を悪化させる食生活を送っている人は、うつなどの精神疾患を有している人が多いことも分かってきました。
タイプ①-3:機能性便秘/直腸性便秘(直腸に便が溜まる)
原因①-3-1:便意の我慢は直腸を鈍感にする
便意を繰り返し我慢してしまうことは便秘の原因になります!
学校や会社・外出先などで忙しくなると、便意がきてもつい我慢してしまうことはありませんか?
通常、便は直腸に送り出されることで直腸のセンサーが働き(排便反射という反応)、刺激が脳に伝わって便意が生じます。しかし、便意があっても排便を我慢することが多いと、直腸の神経が鈍くなり、自然な排便が起こりにくくなってしまい便秘の原因になります。
タイプ②:器質性便秘
原因②-1:イレウス・大腸がん・ポリープ・手術後の癒着など
腸の中にできた大腸がんやポリープ・手術後の腸管癒着など器質的な原因によって便秘になります。また、女性は直腸の一部が膣に入り込んでしまう直腸瘤もよくある原因のひとつです。
タイプ③:症候性便秘
原因③-1:甲状腺低下症・副甲状腺機能亢進症・神経損傷や糖尿病
甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症などによって大腸の蠕動運動が低下することで、便秘の原因になります。また、神経損傷や糖尿病の合併症などで、神経の働きが不調になる場合もあります。
タイプ④:薬剤性便秘
便秘は、別の病気の薬の副作用で起こることもあります。
原因④-1:麻薬系の鎮痛薬(モルヒネ)、鎮咳薬(コデインリン酸塩水和物)など
腸の蠕動運動を低下させる作用があります。
原因④-2:抗コリン薬(気管支拡張薬・鎮痛薬など)、抗ヒスタミン薬・向精神病薬、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬、抗不整脈薬
消化管の緊張を低下させる作用があります。
原因④-3:降圧薬(Ca拮抗薬)
消化管の運動を低下させる作用があります。
原因④-4:制酸薬、鉄剤、収れん薬(ビスマス製剤)など
粘膜への刺激が弱まり、腸の蠕動運動を低下させる作用があります。
まとめ
便秘に関する厳密な定義はありませんが、3日間出なかったり、快適に出せない状態が続く場合は、便秘の可能性があります。便秘にはさまざまなタイプがあり、タイプによって原因も異なります。
便秘とサヨナラしてスッキリ気持ちいい毎日を迎えるために、しっかり自分のタイプや原因は把握するようにしましょう!
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