間欠性跛行とは?神経性と血管性の違い・鑑別方法

美容・健康

「ふくらはぎなどの痛みやしびれで長い間歩くことができない」とお悩みではありませんか?

もしかしたらそれは「間欠性跛行」の症状かもしれません。間欠性跛行とは、一定の距離を歩くことで、ふくらはぎなどに痛みやしびれ・疲労感が生じ、歩行が次第に困難になります。しばらく休息すると治まり再び歩くことが可能になりますが、歩き続けると再び痛みが生じるという症状です。

この間欠性歩行には「神経性」と「血管性」が原因で生じ、治療法が異なってきます。

そこで今回は、間欠性跛行の原因と鑑別方法をご紹介します!

間欠性跛行とは?

間欠性跛行とは、慢性動脈閉塞症や脊柱管狭窄症などにみられる代表的な特徴であり、歩行を続けると足の痛みと疲労感が強くなり足を引きずるようになりますが、数分間休むと再び歩くことができるようになる状態のことです。ふくらはぎに起こることが多いのですが、おしりや太ももに生じることもあります。

間欠性跛行の分類(神経性・血管性)

間欠性歩行には、「神経性間欠性歩行」と「血管性間欠性歩行」の2つに分類されます。

原因となる疾患により「神経性」と「血管性」に分かれ、治療法も異なります。

間欠性跛行の神経性と血管性の違い・鑑別方法とは?

神経性の間欠性跛行として腰部脊柱管狭窄症、血管系の間欠性跛行として閉塞性動脈硬化症(ASO)や閉塞性血栓血管炎(TAO・バージャー病)・下肢静脈瘤が代表的です。

どちらも似た痛みや症状が出ますので、症状や痛みだけでの鑑別方法は難しくなります。そのため、姿勢を変更したり左右差などで鑑別していきます。

神経性の間欠性跛行/脊柱管狭窄症

  • 日によって痛む距離が異なる
  • 前屈(前かがみ)で治まる
  • 足背動脈の触知良好
  • 四肢・抹消の皮膚温維持
  • 傾斜の下りがつらい
  • 自転車で痛みが出にくい

血管性の間欠性跛行/閉塞性動脈硬化症(ASO)

  • 一定距離・毎回同じところが痛む
  • 直立で治まる
  • 足背動脈の触知不良
  • 四肢・抹消の皮膚温低下
  • 傾斜の上りがつらい
  • 自転車で痛みが出る

神経性の間欠性跛行/脊柱管狭窄症の簡易的な検査・診断方法

脊柱管狭窄症の検査・診断は、「X線撮影」・「脊髄造影」・「CT」・「MRI」などが行われます。

脊柱管狭窄症の診断は、レントゲンだけでは難しく、MRIやCTなどの検査が必要となります。MRIは神経や椎間板などの柔らかく水分を含んだ組織を詳細に写し出し、CTでは骨が飛び出すことによる狭窄などを確かめることができます。また、確定診断のために、造影検査(造影剤を注射する検査)などの検査を追加して行うこともあります。

脊柱管狭窄症は画像の結果と症状が一致しないことも多く、注意して診断を行う必要があります。また、閉塞性動脈硬化症などと言った血管の病気によって脊柱管狭窄症に似た症状が出現することもありますので、その鑑別のために血管の検査を行うこともあります。

血管性の間欠性跛行/閉塞性動脈硬化症(ASO)の簡易的な検査・診断方法

検査・診断①:足背動脈の触知

閉塞性動脈硬化症(ASO)とは、足の血管の動脈硬化がすすみ、血管が細くなったり、狭くなったり(狭窄)、詰まったりして(閉塞)、足を流れる血液量が不足する病気です。そのため、実際に足の血管が詰まって循環不良が生じているかを、触診によって簡易的に検査することができます。

代表的な検査方法としては、足の甲にある足背動脈を触れることです。足背動脈は足の第2趾に沿って走行していますので、手の2指・3指・4指の腹でドクドクしているのを確認しましょう。

検査・診断②:ABI検査(上腕・足関節血圧比)

ABI検査 (上腕・足関節血圧比) とは、 両腕と両足の血圧を同時に測り、その血圧差を比較して判定する方法です。

足関節の収縮期血圧を上腕の収縮期血圧で割った値が、1.0以上の場合は正常となりますが、足の血流に異常がある場合は1.0未満となり、特に0.9未満では閉塞性動脈硬化症の可能性が高くなります。通常は、上腕より足首の血圧の方が高めですので、この数値が低いほど重症になります。また、糖尿病や慢性腎不全(特に透析患者さん)では、ABIが1.0以上である場合でも必ずしも正常だとは限りません。

AIB検査は広く浸透してきており、現在は循環器科だけでなく整形外科や皮膚科などでも実施されています。

検査・診断③:血管・動脈エコー(超音波)検査

動脈エコー(超音波)検査とは、体表面からプローブを当てて動脈を観察する方法です。特にふとももの付け根から下の血管は観察がしやすく、この検査に適しています。エコー(超音波)検査ですので、身体へ負担を与えません。

検査・診断④:動脈造影CT検査・CTアンギオグラフィ・MRアンギオグラフィ

造影CT検査とは、造影剤を注入し下肢動脈が造影されたところで撮影を行う方法です。大動脈からくるぶしの辺りまでの動脈が観察可能です。造影剤を使用しますので、腎臓の機能が悪く、まだ血液透析を施行されていない方には不向きです。

閉塞性動脈硬化症の確定診断に欠かせない大切な検査ですが、ごくまれに重度の合併症が起こる難点があります。そのため、近年はCTやMRIの装置を使うCTアンギオグラフィや、MRアンギオグラフィが活用されています。慢性腎不全の患者さんやペースメーカや除細動器を埋め込んだ患者さんなどは、原則としてこの検査はできませんので、注意してください。

まとめ

間欠性歩行には「神経性」と「血管性」が原因で生じ、どちらも似た痛みや症状が出ますので、症状や痛みだけでの鑑別方法は難しくなります。

原因によって治療法も異なってきますので、しっかりとした検査・診断をするようにしましょう!

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